特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座

誌上講座567 和良久用語(1)

和良久では、稽古において専門的な
言葉がよく使われます。

ご了解とは思いますが、新しい方のため、
少し説明をさせていただきます。

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■水と火

これは広範囲に用いられ、
時所位によりその使い方が変わってきます。

ここでは大まかな意味を書きます。

水と火は常に対極する存在で、
液体というより物質的な要素として
用いられる方が多いと思います。

火の「霊」に対して、水は「体」という具合にです。

水と火は、左右対称に存在するものとして
水は「右」、火は「左」として分けられます。

例えば、左手の「火」と、右手の「水」を合わせて
合掌し、これを火が「カ」と読み、
水を「ミ」と読んで「神」と言ったりします。

また、水の洗礼、火の洗礼と言いますが、
水と火は古来から清めには欠かせない要素を
秘めたものとされているようです。

フトマニノミタマでは、
最初にスの印が記されています。

スの印とは「○」の真ん中に「・」の印が
書かれています。

「○」は水を表し、「・」は火を表します。

これは万物を構成する基本構造を
示しています。

大極の思想で言えば「○」は陰でマイナス(-)、
「・」は陽でプラス(+)となります。

科学で言えば・・・

『陽子(+)は、一定の距離をおいて
その周囲を電子が周り、
電子(-)は引力によって引き寄せられ、
また遠心力によって引き離される。

原子の中心にある粒は、原子核(陽子)
原子の中はほとんど隙間である。
あらゆる物質もほとんど隙間から
出来ている』となります。

また物事には、体(外観)と用(中身~働き)が
あると言われます。

この体と用で説明すると、

「水の体」はヨコに流れるが、
「水の用」は上下のタテに動きます。

剱では「用」を選択しますので、
水は上下つまり、タテということになります。

「火の体」つまり、その姿は上下(タテ)ですが、
その用は左右~ヨコと言うことになります。

タテの火と、ヨコの水を組んで十字を表します。

十字は、火と水が組まれたもので
神を意味します。

また、水と火と書いて「イキ」と読みます。

水火とは、分かりやすく言えば「息、呼吸、気」など
のことですが、気よりももっと深い、
根源的なエネルギーのことを指します。

剱(ツルギ)は、本来「水水火」と書いて
「ツルギ」と読みます。

水(体)の洗礼を、水火(イキ)をもって
行うと言うことになります。

和良久では、主に水は、右側を指し、
火は、左側を指します。

■右旋(うせん) 左旋(させん)

古事に「万物は、皆右旋して舞い上がり、
左旋して舞い降りる」と書かれていれます。

「右旋」とは、吸う息で、手のひらが上を向き
上昇することを指します。

「左旋」とはその逆の、吐く息で、
手のひらが下を向き、下降することをいいます。

いずれも「手」の捻りを指すもので
「自転」のことを言います。

例をあげますと「水左旋、火右旋」とは、
右手が下に向かって開いており、
左手が上に向かってあがっていることを指します。

つまり、吸う息であれば「引」となり、
吐く息であれば「弛」となります。

呼吸で「吸う」部分は、上がる、引く動作になり、
「吐く」は、下がる、出るの動作になります。

■自転と公転

「自転」

宇宙に点在する星は、自転と公転を
同時におこなって他の星と調和を保っています。

自転は字のごとく「自ら転がる」ことであり、

「自」は、自己であり、「ミズから」の「水」は
物質の総称であります。

「転」の「転がる」の言霊「コロ」は旋回、
流転であり、それは前進であり、躍動であり、
未来への希望です。

人間レベルでは、自転とは
「自分の力で未来向かって生きていく」ことで、
これは積極的な肉体保持であり
「生きる努力」を意味していると思います。

宇宙レベルでの自転とは、星自らの回転運動であり、
その星を軸に周囲の星ぼしが集まって
大きな螺旋を描き銀河を築いています。

そして、その一つの銀河が軸となって、
他の銀河が公転し、その公転する銀河の自転により
他の銀河も付随して公転しています。

このように、無数の銀河が螺旋してつながり
宇宙を形成しているのです。

この様はまるで人と人のつながりのようです。

人が「積極的に生きる意思」をもつことによって
他の人々がそれに共感し、集うようなもの
ではないかと存じます。

自転とは、「私は自分の力で呼吸をして
精一杯生きているんだ」と言う叫びであり、

自らの力で生きているという宣言であります。
これは「自力」の力を表しています。

また自転は軸となる動きであり、その用は
「火」の作用で、体の中心軸の回転と言えます。

自力という積極的な燃えるような火の働き
あってこそ「水」となる周りがそれに反応し、

一致協力の心と調和の心が働きはじめる
のだと思います。

人生において、この自力ということ、また
火と水の作用を学ぶことがとても重要な課題です。

和良久では、木剱を用いて
この自転を再現しています。

そして、木剱自身が「コロコロ」転がることを
「自転」と称し、
水火の働きの最重要な動きと位置づけています。

手の中で剱を転がすことにより、
指の動かしようが活発になります。

指が動くことによって呼吸が円滑に出入します。
「息をする~生きる」の意味が理解できるのです。

自転あっての公転です。
これは「自力だけの他力」ということが出来ます。

自分が求めただけの世界が広がる・・・
と言えましょう。

「公転」

自転が起きてコロコロと剱が回り始めると、
剱が自然に揺らぎ、こんどは「コオロコオロ」
と大きく回り始めます。

言霊の音響で言えば自転「コロコロ」の間に
「オ」の言霊が入り公転の音「コオロコオロ」
となります。

それは星が、他の星の周囲を周回するような
ものです。

この公転によって、体全体に柔らかさが生じ、
その回転が高速になるにしたがって
内に引き締められ固く強くなってまいります。

自転が軸の回転なら、公転は円周の回転です。
また、自転が火なら、公転は水というふうになります。

火は水によって動き、水は火によって動きます。

自転、公転は一体不離の関係にあると言えましょう。