特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座

誌上講座574 父なる音(1)

言葉・・・

同じ言い方でも、腹の立つ人と、
立たない人がいます。

また丁寧な言葉でも冷たい印象を受ける時と、
とつとつとして、言葉の言い回しが上手でないにも関わらず
温かな気持ちを感じる時があります。

まったく同じことを言っているのに、
Aさんが言うと嫌な感じになるが、
Bさんが言うと好感をもてる・・・

・・・そんなことを感じたことがありませんか?

これはどうしてでしょう?

それは言霊の法則を知れば
理解できます。

言霊というものは、一音一音に力と心があるものであって、
決して、つないだ言葉が綺麗であるから、汚いから・・・
といっただけのものではありません。

巧言令色という言葉もあります。
慇懃無礼ともいいます。

ある芸術の道にあるお師匠さんなどで、
お道具自慢や、心にも無いほめ言葉の連続に、
何か腑に落ちないいやらしさを感じた経験があるのは
私だけではないと思います。

心にも無いことを言う・・・
と言いますが、実は心にあることしか
言葉に出ないのです。

その心のあり方が
言霊の使い方で解明できます。

もちろん日本の美しい言葉の配列は
見事であり、とても大切です。

しかし、まず一音一音を大切にすることを
思わねばなりません。

部分部分が整ってこそ、全体がしっかりとし、
輝きがますのだと思います。

言霊は、水火の凝った現象であり、
水火が純粋でなければ伝わるものも
よい印象を与えないでしょう。

表面に現れる虚飾というものに
惑わされてはなりません。

中を見ること、真実を見極めること、
すなわち審神(さにわ)です。

それには水火を見ることです。
水火を知れば、水火が実在のものとして
理解できます。

言葉は誤魔化せても、
水火は誤魔化せません。

この水火を鍛錬することが
急務ではないかと思います。

さて、世に言う鍛錬には「二つ」あります。

先に言った水火の鍛錬と、言葉の鍛錬です。

しかし、この二つは別々なものではなく
同時に鍛えるものです。

神の活動力は水火であり、
水火は魂を、言葉を、力を生みます。

人は生き物です。
「息をして動くもの」ゆえ生き物です。

動きつつ考え、語り、やがて覚り、
向上していく動物です。

言葉は人類が発見した最高の法則であり、
秩序であり、文化だと思います。

また言葉を、言霊として昇華されてこそ
真の日本文化が発露されるのだと思います。