特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座

誌上講座590 中心的力の発生源(2)

~中心の力発動による効果とバランス

■中心力を発する体勢

1、腰腹同量の力をつくる

2、腰の反り

3、尻を突き出す

4、腹を下方に張る

5、みぞおちを丸くしない

6、重心を両足の中央に落とす

■中心の会得による効果

1、どんなに話がこじれても、最後の一喝で
  相手は力を失い、こちらに従う

2、どんな相手でも毒気を抜き、
  こちら側に変わってしまう

3、まったく歯が立たないと相手に思わせる
  崇高な威厳と魅力が備わる

4、中心力が脳幹を貫き、思考中枢が停止するため、
  世俗の煩悩は遮断され、恐怖や怒りの感情
  さえも消滅して心を仙境に遊ばせることができる

■修練

1、修練の際、努力の形があるのは不可である

2、正しく自然の型を踏めば、悠々迫らざる内に
  強力な力は自ら潜むものである

3、全身全霊の生命力を、格調ある動作の上に
  怒涛の如く強烈に現されなければなければ
  ならない

4、しかも、それは『満山ことごとく桜花の中に
  春日穏やかに香る』という趣がなければならない

■呼吸法

「スーウーアー」の呼吸

1、「スー」と鼻から息を吸って
  腹をへこませて胸を膨らます

2、「ウー」と胸の息を腹部に下ろし、
  下腹部を張って力を充実させる

3、「アー」と息を抜く

■呼吸法の効果

1、内臓強化

2、血液循環の活発化

3、心身のリラックス

4、胆力増強

■人体の重心位置による症状、性格とその対策

<後重心 ・・・前屈みの姿勢>

1、重心位置 ~踵

2、体   型 ~腰曲がり(腹部が縮み、腰が伸びている)

3、背   骨 ~後方に湾曲

4、症   状 ~内臓が疲労下垂し疾患を促す

5、低下筋肉 ~僧帽筋、広背筋、大臀筋、大腿二頭筋、腓腹筋

6、呼   吸 ~腹式呼吸(吐く息)

7、精神状態 ~鈍重、物事への速やかな対応が出来ない

8、八   力 ~合、静の偏り

9、力の方向 ~前方下に偏る

10、原   因 ~両大腿骨が内転し、仙腸関節の前方が閉じ、
        後方が開いている

11、矯正方法 ~両足先を開いて臀部を縮め、体を後方へ反らす

<前重心 ・・・後ろ反りの姿勢>

1、重心位置 ~爪先

2、体   型 ~反り腰(腹部が伸びて緩み出ている腰が
         縮んでいる)

3、背   骨 ~前方に湾曲

4、症   状 ~坐骨神経痛、歩行困難、腹部肥満

5、低下筋肉 ~大胸筋、腹直筋、大腿四頭筋

6、呼   吸 ~腹式呼吸(吸う息)

7、精神状態 ~落ち着き無く軽率

8、八   力 ~分、下に偏る

9、力の方向 ~後方、下に偏る

10、原   因 ~両大腿骨が外転し、仙腸関節の前方が
        開き、後方が閉じている

11、矯正方法 ~両足先を内側に閉じて、体を前方へ起こす

<右重心 ・・・右肩上がりの姿勢>

1、重心位置 ~右足裏外側、左足裏内側

2、体   型 ~左脚が長く、右肩上がり

3、原   因 ~左骨盤が上がり、左股関節が外転
         (背骨が右反りに湾曲)

4、症   状 ~体右側の凝りや痛み、消火器系疾患

5、低下筋肉 ~右外腹斜筋

6、呼   吸 ~胸式呼吸(左肺吸う息、右肺吐く息)

7、精神状態 ~左脳の管轄する働き(事務的機能)の鈍り

8、八   力 ~引、弛の偏り

9、力の方向 ~右方向への偏り

10、矯正方法 ~右方向への捻り

<左重心 ・・・左肩上がりの姿勢>

1、重心位置 ~左足内側、右足外側

2、体   型 ~右脚が長く、左肩上がり

3、原   因 ~右骨盤が上がり、右股関節が外転
         (背骨が左に湾曲)

4、症   状 ~体左側の凝りや痛み、呼吸器、循環器系

5、低下筋肉 ~左外腹斜筋

6、呼   吸 ~胸式呼吸(右肺吸う息、左肺吐く息)

7、精神状態 ~右脳の管轄する働き(感情的機能)の鈍り

8、八   力 ~凝、解の偏り

9、力の方向 ~左方向への偏り

10、矯正方法 ~左方向への捻り

■水火の御伝にある「火中水」「水中火」の意味

水は火によって、火は水によって動くとは・・・

右脳 ~アナログ脳(霊的)

直感的、総合的、幾何的、絵画的な思考、認識、行動
左視野、左耳、左半身の皮膚感覚、運動神経

左脳 ~デジタル脳(体的)

言語的、論理的、分析的、代数的な思考、認識、行動
右視野、右耳、右半身の皮膚感覚、運動神経

■水火

1、呼吸(息)は、水火と書き「イキ」と読む。

2、水火は「気」であり、「活き」「生き」であり、
  万物の活動力の根源エネルギーである。

3、水は縦に、火は横に動く。

4、水は右であり体であり陰である。

5、火は左であり霊であり陽である。

6、水は火によって、火は水によって働く。
 (右脳は左脳によって、左脳は右脳によって働く)

7、右手と左手を合わせ、右手を左手指の第二関節
  まで下げ「火水(神)」となり拍手する。

8、左右合掌の形は、火(横)と、水(縦)が十字を組み、
  神を表す形となる。

9、ツルギの扱いは、右腕を上下させ、左腕を左右に
  動かしてこそ、勢いを増し、力強く働く。

10、左右まったく逆の動きをしているにもかかわらず、
   丸く丸く螺旋運動をなす妙味さ。

11、火と水は反発しあう関係でありながら、
   一つに融合し驚くべき力を生み出す。

12、これを雷撃電飛ともいう。

13、雷撃は、縦の力(上下運動)で強さを現す。

14、電飛は、横の力で左右運動で柔らかさを現す。

15、ともに真空放電から発生する力である。

16、大気中の真空放電とは、すなわち人的には
   無我の境地から起こる霊的発動である。

■鎮魂帰神としての武道

1、ツルギは、正しい体と呼吸の使い方を教える。

2、八力の動きにより、骨盤と脊椎を正す。

3、八力は仙骨を刺激し、丹田を強化する。

4、丹田に蓄積されたエネルギーは、脳幹を突破し、
  大脳の思考中枢を停止させ、無我の境地を実現する。

5、頭の生活から腹の生活に変化する。

6、中心の力を地に下げることにより、
  本来の体力を取り戻す。

7、中心の力を天に上げることにより、
  本来の精神を取り戻す。

8、天の時、地の利を知る