特定非営利活動法人 武道和良久

特定非営利活動法人 武道和良久

誌上講座

誌上講座612 世界の武道~WARAKU(1)

国内の方より、海外の方に和良久をご紹介する
機会が多くなった。

通訳を介してのことであるので、
そのままの言葉ではまず伝わらない。

例えば、一霊四魂や凝や解などの、
八力の名称などをはじめ、
水火のことなど和良久の専門用語は
無理である。

相手が日本人で日本語で話しても、
和良久の理念は伝えるのに一苦労する。

日本人が日本人で無くなった昨今、
こういったことは外国の人だからとか、
日本人であるからとかの区別はなく、
伝え方の難しさは変わらない。

むしろフィーリングで学ぼうとする
海外の研修生の方が飲み込みが早く、
稽古後の感動の深さは国内の方の比ではない。

眼の色を輝かせ、涙目になり、
「こんな魂の震えるような体験ははじめてです」
と合掌して感謝してくれる。

その場で体調が改善されたと喜ばれることもよくある。
また光をみたという神秘体験をしたと言う方もいる。

そんな感想を聞いたとき、改めて稽古してきた
喜びがこみ上げる。

武道は、言葉だけでやりとりする世界ではなく、
体と動きが同時にともなうものである。

いわば、体いっぱいで
ジェスチャーを交えて話す
ようなものである。

だから伝わるのである。
心にしみこむのである。

現今の宗教や心理学ではなしえない
実益ある技がそこにある。

(ただ今日までその伝わり方がよくなかった)

このノウハウは昨日今日出来上がったものではない。

武道の歴史は何より永い。
宗教成立よりもずっとずっと永い。

その間に戦いに利用されたこともあった。
権力の象徴にされたこともあった。
・・・悲しかった。

その気の遠くなるような時を経て培って出来た
ノウハウは、この道に携わってきた先人たちの
尊い命がけの上に成り立っている。

この命がけで守ってきたものとは?
それが「言霊の秘密」なのである。

簡単に言えば「音」である。
宇宙間に鳴り響く「アオウエイ」の五つの音響の
解明と実践、そして応用こそ神の力の活用という。

これを忠実に受け継いで生まれたのが、
和良久である。

和良久は生粋の日本武道であり、
これは、かつて無く、
これからも生まれ得ることもないであろう
奇跡の技であると確信する。

天の時と、地の利、そして人の和がそろってこそ
復活した技であるからだ。

言い置きにも、書置きにもなかった・・・
それほど遠い遠い昔の知恵と正義が詰まったもの。

稽古人諸氏もご承知のように、
アイデアを凝らして造った他の運動形態に比べ、
和良久はまったく太古の理念から生まれたものである。

「はじめに言葉あり」と言う、そのままに。

言葉は言霊と言われ、それは神の声と言われる。
その「言霊」こそ武道和良久の技そのものである。

言葉には、「心」「力」「体」がある。

和良久は、その教えに従って、
そのまま動くのを技とする。

例えば「ス」声の心は「主なる神の心」で、
気高く、真っ直ぐで透明な気持ちと形を表す。

「ウ」の声の司る魂は「省みる心」、
力は「結ぶ力」、そして、その形は
「水のように流れに生まれる渦の中心」である。

「ア」の声の心は愛するということ、
力は「凝る、解く」、その形は
「横に優しく柔らかに動くもの」である。

「オ」の声の心は親しみの心、和む心、
つまりハーモニーである。
力は「分ける、合わす」、
形は「立てに滑らかに動くもの」である。

「エ」の声の心は勇気。
力は「動き、静まる」と言うこと。
形は「強く激しく厳しく動くもの」である。

「イ」の声の心は知恵、賢さ。
力は「引く、弛(縮)む」、
形は「横方向に正確無比に強く正しく動くもの」
である。

また、どの音も呼吸法がともなう。
口の形も決まっている。

「ス」「ウ」は、歯で発声し、胸腹同時呼吸。

「ア」は喉で発声し、胸式呼吸。

「オ」は唇で発声し、腹式呼吸。

「エ」は舌で発声し、腹式呼吸。

「イ」は牙で発声し、胸式呼吸。

また、体内のパワーポイントである
丹田の強化も音声と動きでパワーアップする。

「ス」「ウ」は、中田、つまり鳩尾の部分。
「ア」「イ」は、上田、つまり額の部分。
「オ」「エ」は、下田、つまり下腹の部分。

さらに、これらの6つの基本の音声を、
75声細部に分け、緻密に鍛錬を積んでいくのだ。

何のためか?
・・・自分が生まれてきたことの意義と目的、
そして何より「人というものの素晴らしさを知る」
ためである。

このように、和良久の稽古は、
すべて音声の働きを形として学ぶものである。

「言葉の鍛錬」と「水火の鍛錬」を同時にしてこそ
人の次元は向上すると言われている。

これは「理念」と「実践」がそろったものを
稽古してこそ向上できることを意味する。

まさに和良久はその二つを同時にこなしている。

「スウアオエイ」

外国の方と稽古をするときも、もちろん、
この六つの音声を用いて稽古をする。

まず発声の仕方と、言葉の心に及ぼす意味と効果、
また、体に及ぼす意味と効果などを解説をして
一緒に声を出しながら動く。

宇宙の音声であるこの言霊の響きは、
国境、人種を越えて人の心と体にしみこみ、
みるみる「和」の状態に変わっていくのが
手にとるようにわかる。

その音声の発するエネルギーは、
理性の障壁を打ち破って「感性」に働きかけ、
人類共通の意識と共鳴し、
共振して宇宙意識と言われるものとつながる。

それは各種各様の人々の心が、一つの心の元に
和み打ち解け合う。

その時、人は光を発し、同じ光の存在として認め合い
つながりあっていることを自覚する。