特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座

誌上講座645「水火を練る」

稽古では、以下の段階を踏むよう組まれています。

1、自分自身の心と体を練る ~型稽古

2、次に、向かい合う相手の心と体を練る ~二人組稽古

3、最後に、複数の人々の心と体を練る ~ 総当り組稽古

私の場合、10歳の時に強くなりたいと思って
空手を始めました。

一生懸命稽古したおかげか、
自分の体も締まってくると共に、
喧嘩ににも負けない自信がつきました。

とにかくこの時は自分のことで精一杯の時期でした。

次に、このように自分自身への自信がつき、
ひ弱な自分が稽古によって変わっていったように、
この技を自分と同じ劣等感をもつ者たちに伝えて、
自分と同じように強く健康に
生きて行って欲しいと願いました。

そして、まだ欲は尽きません。
今度は、世界に眼を向けるようになってきます。

自分の培った力を世界のために
何か役に立てないだろうかと思うのです。

こう見てみますと、大雑把に人の成長の過程は
以下のようになるのではないかと思います。

1、自分のこと

2、人のこと

3、世界のこと

生まれつき、2や3の段階の人もいますが、
私のような凡人は、やはり自分自身が
一つ一つのことをクリアしていかないと、
人のこと、世界のことまで見る余力ができないようです。

なにせ、自分の心と体に余裕がないといけません。
余裕をつけるため必死でいまの自分を乗り越えていくのです。

心と力の容量を増やせば、
思わず知らず人の役に立ちたいいう気持ちになります。

そういう意味で、稽古と言うものは楽しいものです。
稽古をすればするほど自分の中に、
外的なことを受け入れる容量が増えていきます。

時々刻々変わっていく自分を観察していくのは、
稽古人ならではの喜びではないかと思います。

困った人を助けたいと思うとき、
自分のもつ力のレベルを計ります。

勢いで助けに行ったは良いが、力及ばず逆に助けられた。

これでは、まるで海で溺れた人を助けにいった人が
自分が溺れてしまったようなことと同じです。

そんな情けないようなことのないように、
常日頃から大海原で泳げるように、
練り鍛えることが大切なのではと思います。

稽古にはいろいろな方法がありますが、
一例として、このような稽古があります。

八力の型を用いての稽古です。
これは入門一科を経た人なら出来るので紹介しておきます。

1、まず自分一人で八力を行い、自分の水火を練る。

2、次に、相手と向かい合い、正中線を合わせて、
相手のことを思って八力を行い、相手のために息を練る

3、そして、複数で円陣を組み、
一斉にすべての人のことを思って八力行う。
自他を含め全員の水火を全員で練るのである。

特に3は、一神即多神、多神即一神の法則を
体現したもので、すべては一人のために、
一人はすべてのためにあることを実感できる稽古です。

また、言霊を発声させると、空気中の電気が集められ、
体を螺旋状に動かすことによって
発電すると言われています。

「ア」と言う言霊を発すると、
「ア」の神霊原子が集まってまいります。

それを螺旋運動によって
体内に取り込んでいくと考えて下さい。

空気中に集まった神霊原子を、水火の型代なる右手、
左手で優しく旋回させて丸く集め吸収していくのです。

同様、相手のためにこれを行い、
すべての人の為にこれを行います。

人の成長は、利己心から始まって、
より利他的なものへと拡大していくのもです。

すべての者の為に尽くす・・・そして、
それが結局は自分に帰って来るものであることを
知らず知らずに知ることになります。

さて、八力をもって行うのと、
八剱をもって行うのとの違いも体験してみてください。

効果については、あまり詳しく言うと
固定観念が入ってしまうので、
ここは自身の体験に委ねたいと思います。

ただ八力は、
マッサージで言えば手もみのような感じです。

八剱は、風のように爽やかな気持ちになり、
「祓いの技」としての要素が強いと思います。

この稽古は随分以前に何回かやったことはありました。

近頃、またこの稽古法を行うようになったのは、
もっとみなさんに水火の実在を感じていただくこと、
そして何より、お互いを思いやって、
仲良く稽古を続けていただきたいと思ったからです。