特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座

誌上講座658「玉留魂」

今年は、最初から基本に忠実に、
そして、それをもって
体を鍛えることを旨に稽古を開始しました。

横の動き、縦の動き、前後の動きを、
それぞれ意識し、また、それを螺旋で統合させ、
より球体に近づけるよう努力します。

ともに心身を鍛え上げ、
神様の手足となって大活躍できるよう頑張りましょう。

さて、稽古によって、ただ癒しという効果だけでなく、
体力、精神力の向上がなくては、
本来の武道としての価値がありません。

日常生活において、元気に明るく振舞え、
また、人に頼られるような余力を兼ね備えてこそ、
武道の道を歩む「もののふ」と言えましょう。

別に、桁外れな力を持つと言うのではなく、
自分の体と心をしっかりと自己管理でき、
世の範となるよう努めることが
稽古人の基本的務めと存じます。

和良久の技は、霊と体を、分離して、
つまり、文と武を分けて鍛錬するというのではなく、
同時に練るところに特徴があります。

かって、私は、師に言われました。
言葉の鍛錬と、水火の鍛錬は
同時になさねば意味が無いと。

人は、動きの中に(体験を通して)こそ、
本当に実のある心を見出すことが出来るものです。

これは、言葉とは姿、形、体と言うことを表し、
また、水火は呼吸、心、精神などを表します。

これを、同時に行うことで、
大きな効果を得られるのです。

例えば、呼吸法、筋力強化体操、発声法、精神統一法を
すべて兼ね備えた運動であり、

また、何より、社会生活から逸脱したような、
不要な動きなどではなく、
実生活に役に立つ動き(技)であることが重要です。

和良久では、基本の型に八力を置いていますが、
これには以上の要素をすべて兼ね備えています。

縦の剱(オエ)の動きで、厳しさ強さを養い、

横の剱(アイ)の動きで、優しさ柔らかさを養い、

前後の剱(ウ)の動きで、
俊敏さと伸びを養います。

これらが、同時に稼動し出しますと、
螺旋運動が展開されることは言うまでもありません。

三元の法則で説明すれば、

稽古の段階は、「剛」つまり固めることから入ります。
家を建てるならば基礎工事をしっかり行うことです。

次に、それが数をこなすと共に力みが消え、
柔らかさが出てきます。これが「柔」です。

そして、さらに速さが増してきて
「流」となります。

この「剛、柔、流」の段階をしっかり経てこそ、
雨風にも負けない堅固な家、
つまり肉体が完成するのです。

この動きを図形で表せば、
以下のようなものです。

□~剛  玉留魂(たまつめむすび)

○~柔  足魂(たるむすび)

△~流  生魂(いくむすび)

例えば、近頃の稽古で行っている、
八剱の打ちの稽古を思い出して下さい。

凝を打つのに、まず「ウ」で入って構えますね。

(1)最初に、左手を右へ移動させ、
   剱先を左へ振って体を右に捻ります。

(2)次に、そのままの体勢で、下へしゃがみこみます。

(3)しゃがみこんだら、今度は、左手を左へ移動し、
   体を左に捻ります。剱先は右へ降られます。

(4)これで、剱の発射準備OKです。かがんだ体を勢いよく
   立ち上がらせて「凝」を打ち上げます。

これで、解る様に、剱が四角を描いて発射されています。

剱をすばやく打つと言うのではなく、
体の動きを正確に出すことが先決です。
つまり、基礎体力造りです。

いち、にい、さん、しい・・・と、
数えて打つ稽古から入って、
しっかり基礎工事を行って下さい。

次に丸く、そして疾風のように打つ打ち方へと、
自然変化向上を遂げます。
まず、剛であれ・・・です。