特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座

誌上講座667「スの呼吸」

スの呼吸は、口をほんの少し開き、
歯から漏れる息の流れで出る音を、
自分の耳で聞きながら
落ち着きを取り戻す呼吸法である。

鎮魂を行うに速やかであり、何より、
この激しいストレス社会の現代において、
是非覚えておきたい呼吸法である。

普通の呼吸は、ハーハー、フーフー・・・と、
「ハホフヘヒ」の言霊をもって、
緩やかに温かい円やかな息をもって行う。

しかし、スの呼吸は
涼しい冷ややかな風が思考の世界と肉体を通り抜けて、
その通り道の埃や垢を吹き飛ばす勢いがある呼吸である。

まず、スの呼吸の効果を箇条書きにすると・・・

①ス声を発する際に出る「ス」の音を自分自身が聞くことにより、
心の角質が取り除かれる、文字通り身も心も「スー」とする

②呼吸を細く長く出すと言う「長息」がもたらす長命効果がある。
「長生き」とは、長い息と言う意味である

③胸式呼吸と、腹式呼吸を同時に行うため、
肉体の上下が安定し、体が真っ直ぐ立ち上がり、姿勢が正される

④「ス」声を出す際の顔の表情が涼やかである

スの言霊は、元来音響はなく、
一般に使われている「ス」声は、
父音のウが入っての「す」であり、
これを75声の「ス」と言う。

これは「何々です」の「す」などに使われている音であって、
純然たる「す」声ではなく、
「すう」と言う風に「う」が入っての「す」なのである。

要は、「幽のス」と「顕のス」があると言うことである。

幽のスは、フトマニノミタマの音声で、
先に言った息の漏れる際に発生する音声である。
霧よりもガスよりも細かい粒子で、言霊の元素といわれる。

顕のスは、サソスセシのスであり、
スの後に「ウ」声が入って初めて
音声として聞き取れる75声の音声である。

このスの呼吸法は、非常に簡単に出来、
いつでもどこでも出来る呼吸法である。
ただし、これをやったからと言って安心してはならない。
これがすべてではない。
このス声一つは、すべての音声75声の元である。

スをより深く理解するためには、
75声のはたらきを学ばねばならないのは言うまでもないことだ。

一つをより深く知るために多くを学び、
多くを学ぶことによって一つの真実を知ることになる。