特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座

誌上講座669「変化するものとの融合」

今月から、いよいよ正規に
75剱の「ア」の剱の稽古に入りました。

75剱は、八力をつなぎながら
剱を旋回させて相手の剱を組み(受け)、
相手の勢い(他力)をもらって加速させて打ち返す剱です。

しかも、この剱は、相手の打ち方を選ばず、
いかなる角度からの打ちをも、
その螺旋運動によって巻き込む前代未聞の特殊な技です。

相手の打ちが、右から来たから右へ払い、
左から来たから左へ払うというような、
いちいち相手の動きに合わせると言う
煩わしさがありません。

どのような打ち方が来ても、
75剱を使う者は、気持ちを乱さず、
ただ淡々として一定のリズムを保ちながら
螺旋運動を行います。

ああ受けよう、こう受けようと言う
ストレスが消え、無心となっていきます。

そして、螺旋の数を重ねることにより、
深い鎮魂状態に入っていきます。

それは、まるで自分が万物を司る自然の力のように感じ、
そこに相手と自分という境界が無くなります。

一言で言えば、何も変化せず変化するものと
融合することが可能であることの実証です。
これが神という存在ではないかと思います。

私は、技というものは、
決して相手の出方によって変化するものではなく、
すべて最初から計画通りに決められたことを忠実に実行し、
それを最後まできっちりやり遂げれる技術を
言うのではないかと思っています。

また、技を行うに際しては、周囲の変化をもろともせず、
心静かに穏やかに楽しく動けているかということも
大切なポイントです。

余裕のない動きは、失敗を招きます。
ころころと大胆に旋回する渦の中にこそ、
平静さを取り戻す秘密のリズムが隠されています。

螺旋は融合、融和の力です。
しかも、旋回の中では遠心分離作用が働き、
不純な気持ち、不要な動きが飛ばされます。

そして、極限にまで心身がシェイプアップされ、
必要不可欠な要素のみが残ります。

私は、この技に神を見ます。

そして、複雑に構成されていると思っていた
宇宙の営みと、世の様が、実はかくもシンプルで、
しかし絶対普遍な力をもって動いているのかと言う
安心感に身を包まれます。