特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座 誌上講座

誌上講座106

「心の眼」 

剱を旋回させる範囲、つまり回転半径はどれぐらいなものか?

これは凝縮(動きを小さくし、高速にする)をするか、
拡散(動きを大きくし、ゆっくり動く)をするかによりますが、

意識的には下記のようなことです。

1、宇宙一杯
2、大空
3、稽古場の部屋全体
4、相手の体全体
5、自分の体

・・・などを気持ちで「巻き込み、包み込む」という旋回です。

しかし具体的には自分の視界の範囲が一般的です。

それは、上は天剱、下は地剱、左右は剱を旋回させてみて
見える範囲です。

けっこう、人の視界と言うものは広範囲なものです。

眼はぼうっと前を見ていますが、
上も下も両側もかなり見えるものです。

高速に動く自分の剱と相手の剱を、同時に観るという
私たち和良久の稽古は、
かなり視界の範囲を拡大した稽古であるようです。

動くものを捉える眼の力、
つまり動体視力を最大限に駆使します。

稽古が進むにつれ、
肉眼を越えた眼である「第三の眼」を使うことを憶えます。

一般に言う「心の眼」というものです。

これは相手と自分の動きを、もう一人の自分が離れて同時に見ている、
という感じを得ます。

また、早いものをゆっくり捉える。

遠いものを近くに見、近いものを遠くに見る。
など・・・こういった時間と空間を超えた事象を即座に計算し、
調整し自分の必要な情報として自分の腹の中に送り込むのです。

武道における高速運動の技の展開の中に身を投ずるには、
感覚、感性によらなくては、到底対処出来るものではありません。


続く…