特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座134


「力」 〜八力の組み合わせ


八力は、その一つ一つ、それぞれに力を有します。

凝、解、分、合、動、静、引、弛・・・

しかし、以上の内の一つ、
つまり単体だけでは力の姿は活動力として表に現われません。

例えば「凝」なら、「凝」そのものは、「凝」という力の元素なので、
その「凝」を活かす為の別の八力の組み合わせが必要になってきます。

その組み合わせによって「凝」は「凝」の役割を果たすことが出来ます。

さて「凝」を活かすのは、その相反する力である「弛」です。

つまり、いつも稽古で言う反動圧というものです。

右に行くために左へ。
上に上がるために下へ。
前に行くために後ろへ。

吸う為に吐き、吐くために吸う・・・と言ったように、
万物は逆方向に勢いをかけることによりその反発力で動き出します。

指で輪ゴムを飛ばす時、後ろへひっぱってから離します。
そうすると勢いよく前に向かって飛んでいきます。
簡単に言えばそのような力のことです。

「凝」など、八力の内の一つの力そのものは、
それ自体完全な存在なのですが、
しかしそれひとつの単体だけでは動きが生じません。

輪ゴムの如く、弛をもって逆に引っ張るからこそ「凝」の姿が活きるのです。

75剱はこのように、八力を精妙に組合して徐々に加速し、
力を増幅させ、最高点に達したとき「打ち」として発射するのです。

「アの剱」で言えば、「弛」の力で「凝」を起し、
天高く巻き上げて「ス」に力を集約させ、さらに「引」の力で
「解」にもっていき、地に強く落下させる・・・と言う風にです。

つまり「解」ひとつを打つのに、地から天に上げ、
そしてまた地に戻すという長い旅をするのです。

まことに精妙なる手間をかけて、「解」と言う一つの力を発揮させます。

ちなみに「解」の力がうまく働かない時、
解そのものに問題があるのではなく、解を打つ前段階の「引」の姿が
あやふやであるから解に力が乗らないということがあります。

以上のように、力というものは、単体では何の効力も発揮しません。

凝、解、分、合、動、静、引、弛・・・
このどれ一つ欠けても、本来の具体的な力は発生しません。

本来「力」とは、八力すべてをひっくるめて「力」と称します。

この八力の去るときこそ肉体の活動の終焉となります。


続く・・・