特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座137


「日本人を取り戻す稽古」


日本人を取り戻す?・・・ただ単にこれだけをと言うと
何か誤解を受けそうです。

まず「日本」とは何でしょう?

日本は、日の本(ひのもと)とも言います。

日は霊であり、本は元で、「霊の元」と書いて「ひのもと」と読みます。

つまり精神性を先行する国(地)ということで、
これを霊主体従(れいしゅたいじゅう)の国とも言います。

霊主体従の精神とは、神第一主義であり、物質に執着せず、
心を大切にした生き方を表しています。

日の本は、特に「日本という特定の国」をさして言うわけではなく
「霊主体従の精神をもった人の集う地」と考えていただければけっこうです。

以上のように、霊主体従なる人民は、内なる魂を大切にし、
物質は魂を育む道具と考えます。

この内なる魂を開発するのが、武道の役割で、
和良久を稽古している皆さんは、もうご存知のことと存じますが、
具体的には「三田(さんでん)」と言われるものの開発です。

上田(じょうでん)  〜額
中田(ちゅうでん)  〜鳩尾
下田(かでん)    〜下腹

以上、三田を総称して「丹田(たんでん)」と申し上げます。

この丹田を養成するのが腰です。
腰はご承知のように「八力」を描いて動いています。

正しく八力をもって腰を鍛えると腹が練れます。

腹が練られると「三田」が向上します。

三田が向上しますと、魂(四魂)が増幅し、神を知ります。

古来より日本人の生き方と申しますか、
ライフスタイルの特徴として、腰を中心とした身体操作法を行います。

腰を中心とした動き・・・それは全身の動きを、
体の中心である腰からくる力をもって可動させることです。

その動きは「統一体」と言われるもので、
日本伝統芸能の身体操作法の特徴です。

例えば、能楽、茶道、武道などの共通する動作が、
腰を中心として前後、上下、左右に「体全体で目標物に対し、
一点に集中して向かっていく」というものです。

腹が据わると集中力が高まり、物腰が静かで、重厚となります。

それは物事の本質を覚り、すべてを知って、すべてを忘れた境地です。

「いま(神のために)何をなせば良いのか」を的確に判断出来、
思いをどこにも置かず、動きをどこにも偏ることがなくなります。

いわゆる「中核」を得た状態です。

英語で言えば「ニュートラル」である状態です。

前でも、後ろでも、上でも、下でも、右でも、左でも・・・
どこでも迅速に動けるポジションにいます。

臨機応変であり、千変万化の働きを見せ、
また磐石の体勢を築き、不動の精神を確立させます。

逆に、外国とは、そういった意味の日本の国以外の国のことで、
霊主体従に対して、体主霊従(たいしゅれいじゅう)の国と
言うことになります。

体主霊従とは、物質先行主義のことで、物への執着が強い、
神を信じない者たちを指します。

決して現存の諸外国の国を指していっているのではありません。

霊的過ぎても、体的過ぎてもなりません。
どちらにも偏ってはなりません。

霊的なものと体的なものが調和よく融合された状態、
割合で言えば、霊が五、体が五ということになります。

しかしその順序が大切です。

霊的なものが先に来て、体的なものが後に従わねばなりません。

それが魂、心を重んじる文化を育む国、日本の使命です。

何があっても「中立」を保つ。

和を重んじる。

人を、自分を傷つけない。

人も良く、我も良し。

和良久は、このように「日本人としての自覚を取り戻す稽古」
なのです。


続く・・・