特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座209


「和良久って何だ?」 (6)


相手を倒す術を身につけると、妖刀村正のように、
自分を守ることに留まらず使ってみたい、試してみたい、
という欲求が必ず出てきます。

近年凶悪な犯罪の影には、こうした格闘的な精神と
技術の普及が大きく影響していることを、
世の武道家たちは憂慮しなければならないと思います。

もし、誰もそんな格闘技や武術を知らずにいると、
もっと平和で安全な世になれたのにと思います。

今なさなければならないことは、
戦いの術をもって戦いをおさめることではなく、
殴り方ひとつ知らない、蹴り方、投げ方さへ
思いつかない社会に戻すことが大事なのではと思います。

武器は、そこにあるから使います。
もし、最初から、世の中にそんな危ないものが一つも無ければ
安易に殺人など行えないはずです。

アメリカの銃社会をご覧下さい。
銃は人差し指一本を軽く曲げるだけで人が死にます。
本当に人の命をインスタントに消す道具です。

さて、相手が銃を持っているから自分も持つ。
危険が迫る恐れがあるから銃を持つ。
そして相手が銃を捨てるなら自分も捨てよう。

人のせいにする、何か他のせいにする・・・これでは
絶対銃がなくなるはずがありません。

まず自分からアクションを起さねば何も始まりません。
アメリカであれば自分から銃を捨てること。
日本であれば、自分から戦う術を放棄することです。

「戦い争うことがいけないということを知るために、
格闘の術を体験しておくほうが良いのでは」という弁も
分からないではないです。

しかし「戦いに縁のない自分を創る」という
日本武道本来の姿勢から見ると、
戦って何かをつかむと言う手法ではなく、
最初から戦わない姿勢を持ち続けることが
大事なのではと存じます。


続く・・・