特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座27

殴り合いの心理 (3)

すべての格闘者がこのような心情をもつとは限りませんが、
私の周囲のほぼすべての選手がもった感情であったことは
まちがいありません。

同じ選手同士で語り合ったことに
「平和」とか「道徳」とか「愛」とかなどと
言い合うことはまずありません。

この紙面で書けないような下劣な言葉と態度が普通でした。

選手同士の会話は、どれだけ悪いことをしてきたか、また
どれだけ喧嘩をしてきたか・・・とか、こんな奴を殴ってやったとか

そんな自慢話に終始するレベルの低い世界でした。
それは今でも変わらないようです。

(私は今でもよく空手時代の後輩たちから相談を受けます)

この格闘武道の練習を続け、そして力がつくと
人にちやほやされ、いい気になって
強い奴こそ最高で、弱い奴は生きていく価値なんてない・・・

などと若さゆえか、本気で思ってしまうようになります。

振り返ってみて、こんな野獣のような武道家たちが
世間にもてはやされ、英雄扱いされている現状を見るに

その本質を知らぬ善良なる一般人の皆さんに
戦いの現場を知っていただきたくて、そして

こんなことをやっちゃいけない・・・ 肯定しちゃいけない・・・

と叫びたく、恥を偲んで私のかっての思いを白状しました。

まだまだ、こんなことを指導し、またその選手を目指す輩が
次から次へと出てきています。

一時は静まった格闘技ブームですが、また近年ルールも
エスカレートしてきています。

なんでもありで戦う・・・とか、見ていて
いやらしいものが沢山出てきています。

マスコミも誰が世界一だとか、最強だとか
騒ぎ立て火に油を注いでいます。

おまけに訳の分からない格闘評論家が出てきて
分かったようなこと言って解説し

また、一番いけないのがそれを受け入れる観客たち。

流血に陶酔し、絶叫する様はまるで何かにとり憑かれた
悪魔教の儀式のようです。

またローマ時代の退屈しのぎに奴隷達を戦わせ、
殺し合いをさせてそれを見て喜んだあれと同じです。

平和で、物に満ち溢れ、自分がやらなくても
お金さえ出せばなんでもゲーム感覚で楽しめる飽食の時代。

これは決して格闘技の世界だけの話ではありません。

格技は、社会そのものを反映した一シーンに過ぎません。

何にしても、強いもの勝ちの覇道の世界。

でも、もうこの覇道の世界もそろそろ幕を
閉じようとしています。

この宇宙を創造した神「大国常立之命」が名を
「うしとらのこんじん」と名乗り、

「もう影からみておれん」と、この世に再び現れたのです。

そして神をなきもののようにし、
好きすっぽうにしていた人民に対し
こう力強く宣言したのです。

『 三千世界一度に開く梅の花
  うしとらのこんじんの世になりたぞよ。
  梅で開いて松で治める神国の世になりたぞよ 』

『 いまはけものの世、強いもの勝ちの世であるぞよ。
  このままでは世界は泥海となるよりしようはないぞよ。
  もう黙ってみておれんから、神がおも てに現れて、
  三千世界の立て替え立て直しをいたすぞよ 』

とうとう神様の堪忍袋の緒が切れたのです。


続く・・・