特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座275


「技を人生に活かしてこそ和良久」


劒の法則から言いますと、上がるならまず下がる。
右に行くなら、まず左に。出るなら、まず引く。

このように、反動圧を駆使して
劒の働く力を発生させています。
さて、これを人の世の法則に当てはめますと・・・
上に立つほど、人に尽くす。
高きに上がるほど、低きに下る・・・こうなります。

キリストでさえも、自ら弟子達の足を洗い、
人から卑しめられている方たちに近づき親しくされました。
低くしなければならない、と意識するのでなく、
周囲の皆に対し、心の底から感謝の念が起こり、
ありがたく思って、本当にそうしたいからする。

これは「本当に人間という存在は素晴らしい」と
自覚できた故であり、
人はすべて自分と同じ神の子であると覚悟したからです。
自分が、真に素晴らしいと思えたとき、
自他不離の関係が成立するのでしょう。

まだまだ開花しない能力を花開かせ、
人間という存在の素晴らしさを知ることが和良久の鍛錬です。
稽古で得た様々なことを、人間関係や仕事、学業などに
活かすことが出来ないで
稽古も何もあったものではありません。

技の法則を、即人生の法則に活かすことが
稽古人の常に意識に置いておくことではないかと思います。
おかげさまで、和良久も徐々に社会に容認され
各地で「稽古希望」の要請も増えてきました。
そう思いますと、和良久を稽古されてる方、
またそれを世話される方は、
「和良久の人は姿勢がよく、礼儀正しくて、親切だ」と
言われるように努めていただきたいものと希望いたします。

今後世界は確実に「和」の方向に向かっています。
そして本物だけが生き残れる世となります。
行いが伴わなく、口先ばかりの人間は、
きつい言い方ですが席を除かれ、
行いと言葉が一致する者のみピックアップされましょう。

和の道、和良久を稽古し、また世話される方は、
いくら技術が卓越していても、
また理念を知っていてもだめで、
大事なことはこれをいかにして
人生の中に組み込んでいるかということです。

ここで、もうひとつ大切な要素が必要となります
。 それは「熱と光」です。
言い換えれば「温情」と「誠意」です。
人間的温かみと、人に親切を尽くすことです。

これは、技の要素とまったく同じです。
技は螺旋をもって球体を形成しますが、球体とは
上下、左右、前後の一致です。
この三つの要素は技のみに当てはまることではなく、
確実に心に非常に深い影響を及ぼします。

上下の一致・・・神をはじめ長上を敬し、下を哀れむ心。
左右の一致・・・偏った見解をもたない平等な心。
前後の一致・・・出過ぎず、引っ込み過ぎない中庸の心。

これらの心は、行動(技)と言葉によって現されます。

和良久の技はご承知のように
直線や角を排除した丸い旋回する動きです。
これを螺旋波動といい、
邪を祓い、清きものを引き寄せる作用をもちます。
逆に、丸さのない、直線的で、角張った、
切れ切れの動きをもつものを鋭角波動といい、
邪を引き寄せ、温かさを奪い、光を消します。

このように、言葉でも、
鋭角波動をもつ息で言葉を発するのではなく、
螺旋波動をもって、丸く温かく、思いやりある、
優しい言葉を発するのが望ましいものです。

殴りつけるように言うのではなく、
丸く回すように話すことが大事。

あの人は言うことは立派で、理路整然としているのだが、
なぜだかどうも納得出来ない・・・と言うのがあります。
なぜでしょう?
また、技を良く知っている人だが、何か相手になりにくい。
なぜでしょう?

それは、言葉(技)そのものをいくら着飾ったとて、
言葉そのものに熱と光がなかったならば、
相手の心に溶け込まないからです。
熱と光を生じさすのは
螺旋運動による旋回と
旋回にのはざまによって生ずる摩擦です。

とにかく、水火(呼吸)を巻くことが大切です。

水火を巻かずに、直線的に打つと、
そこには熱も光も生ぜず、
ただ冷たい水火のみ相手に伝わり、
それは相手に冷や水をあびせることと同じです。

人は本能的に、そういうもの(鋭角波動)を
拒絶する本能をもっています。
これは自己防衛本能です。
壊しにかかるものに対しては門を閉ざします。

逆に、無口で言葉を飾る術を知らない、
無邪気で明るい人の発する淡々とした言葉に、
心を打たれることがあります。
これは、言葉を飾る術を知らないが故に、
かえって一言一言に気持ちが篭り、
水火に熱と光が加わっていくためです。

言霊とは、決して知識、学問が
長けていることが大切なのではなく、
結局誠意と熱意ある心から発することが大切なのでしょう。
これは、言葉だけに限らず、技もそうです。

和良久は、技の稽古を通して心に平安を取り戻すものでり、
決して技を多く知っているから偉いとか、
他と競争してそれに打ち勝つことを目的とはしていません。

技や理念を知っているからといって、
天狗になる人は和良久にはいないと思いますが、
もしそういう人がいたり、
または自分がそうであると思える人は
何の技を稽古してきたのかと反省すべきです。

劒を丸く旋回させて打つように、
言葉も丸く旋回させることが大切です。
基本の稽古である八力の型、八劒の型、
言霊発声の三つは三本柱であります。

八力の型で腰(体)を整え、
八劒の型で呼吸を整え、言霊発声で音声を整えます。

基本をもう一度見直して下さい。
一体何のために稽古をしているのかと。
人間関係がギクシャクしていて、一体何が和良久なのでしょう?


続く・・・