特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座324


「期限」


人生は、限られているから、今という時間を
大切に過ごそうという気持ちになります。

あと何日、あと何時間、あと何秒・・・

カウントダウンが始まったとたん、
人は必死にに凝縮した時間を創作します。

自分にとって最もベストな状態をもって
今という時間を過ごします。

いつまでもこのまま・・・と言う気持ちが、
気を緩めさせ、今しかないと言う気持ちが
気を引き締めさせます。

もし、人に寿命がなかったらどうでしょう?
もし、人に死が訪れなかったらどうでしょう?

それはゴールの無いマラソンのようなものでは
ないでしょう。

かっての師は、私に「千日初心」と言いました。

稽古の区切りを「千日」という期間を置いて
考えたいと思います。

3年たったら師の元を発って自立する。
3年たったら自分の足で歩んでいく。

師を頼りとせず、師から伝えられた技と心を
一層大きく育んで膨らましてもらう。

そして何より自分のもった志を大切にして
歩んでいくところに個々の才能が
開花するように思います。

最初に「いつまで」と、区切りをつけて出会うのも
また、スリリングで楽しいのではないでしょうか?

そう思ったとたん、目前の人がとても愛しく思えます。

先日、熊本空港に降り立った時ふと思いました。

「もう、この熊本も来てから3年目・・・
あと一年と言う期限を切ってがんばってみよう」

そんな気持ちをもって稽古場に到着し、
玄関前に立った時、あらためて建物を眺めつつ、
はじめてここという場所を愛しく思えました。

「ああ、ここもあと一年か・・・」

そして、熊本の稽古人の皆さんに
先のようなことを説明し、そして申し上げました。

「来年の今頃はお別れ会をしましょう」

いえ、決して、必ず一年たったら
私が二度と来ないというのではなく、
また和良久を解散するというのではなく、

それまでに先生レベルの人が育っていただいて、
各自が道場を設け、お弟子さんをとって
指導していくようになってもらうよう
教えていっていただくということ。

その後は、2ヶ月に一回か二回の講習会を開催し
各支部の皆さんの指導、及び師範クラスの指導を
開催するため前田が参上します。

つかず離れず、丁度良い「間」をとりつつ
生きていくのがもっとも人と人との関係が
長続きする呼吸ではないかと思います。

熊本に限らず、各支部も期限を切って、
めでたいお別れの日を、
少し感傷的な気持ちも感じながら、
時間を大切にして待ちたいと思います。

お別れの日、それは皆様にとって
新たなる旅立ちの日であると言うことです。

また、大局的には、私たちは、
肉体を捨てて、この現界を旅立つ日が必ず来ます。

生まれた瞬間から期限が切られて、
カウントダウンが始まっているのです。

また、肉体を変えて再び会えることもあるでしょうが、
前世の記憶を消されてのことですので、
何か潜在的に懐かしくは思えるでしょうが、
やはり現界的には初対面には違いありません。

いま生かさせていただいている喜びを
忘れないことでしょう。

自分の魂の向上のために出会ってくださった
多くの人たちに心から感謝せずにはおれません。

人生は、一期一会。

言葉では知っていても、
本当にそう思っていなかった自分を
反省いたしました。

真に時を大切に、人を大切に思えるには、
小さくても実践していくしかないようです。

その小さな実践を通して、
めぐりめぐる大きな三千世界の流れを
知るのかも知れません。

そんな小さな実践の開始です。

今という時代に自分を創造してくださった
神への深い愛を思い、この世に生まれてきただけの
使命だけは果たしてあの世に帰りたいと思います。

本来、時というものに限りはないでしょうが、
人はそれに限りをつけて
時間という存在を創作しました。

時は限られている、
だからこそ今日をがんばれるんだと。


続く・・・