特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座329


対なる神の力〜反射力 (1)


神に対しては、誰がどのように反抗しようにも
絶対適わない。

なぜならあ絶対なる法則をもった
存在だからである。

その法則とは・・・?

それは反射力である。
そして、この力を「鏡」と唱える。

鏡〜太古では「火火水」と書く。
実は、神は鏡そのものの力をもった存在である。

鏡の力とは、こちらが行ったことを
そのままこちらに直にリターンする力である。

例えば、こちらが鏡に向かって
切りかかる姿を映すと、
それは自分自身を切っていることになる。

鏡の反射の如く、こちらがどんな手を使って
神に対抗しても、それは自分自身に対して
行っているのである。

打った瞬間、同時に自分を打っている。
ののしった瞬間、自分をののしることになる。

鏡に光を当てると、自分が眩しい。

神はこのような
反射する力をもった存在なのだ。

そして、それは驚くことに、
自分が発した時のような時と同じ力が
反ってくるというのではなく、
何倍にも増幅されて反ってくることを
忘れてはならない。

軽く言ったつもりが、
こだまのように拡声されて大きい声で反って来、
軽く打ったつもりが、物凄い衝撃となって
反ってくるのである。

これ、宇宙の運行である「螺旋の妙用」である。

反射力は、また相対するものを
ひとつに合わせる力を兼ね合わせもつ。

瞬間と永遠、点と円周、火と水、陰と陽、
男と女、善と悪・・・
このように対照するものを同時に存在させる。

俗に「合わせ鏡」というが、
反射する力をもつものは同時に
融合する力となる。

反射は「吸呼」であり、螺旋は遠心力である。

融合は「呼吸」であり、螺旋は求心力である。

鏡は、この遠心力と求心力を同時に発揚し、
和合世界を瞬時に具現化する神器なのである。

そしてその鏡に映った世界こそ
「タカアマハラ」である。

天に唾する・・・と言うが、このように
天に向かって唾を吐きかけると、
それは自分に反ってくるような法則・・・
つまり「因果応報の法則」が
私たちの世界の動かさざる法則なのである。

しかし、逆に良いことをなせば、
良いことが反って来ると言うものであることも
忘れてはいけない。

善をなせば善となって、
悪をなせば悪となって反射してくる。

良いことを願い、そして善行をなせば、
その良いことは何倍にもなって自分に反ってくる。

『神は万倍にしてかえすぞよ』と言う聖言があるが、
まさに、これ神のもつ力「反射力」のなせる技である。

こうして文で説明しても、ややこしく、
理解し難いかもしれないが、
75劒の技の稽古をやれば
この反射力という原理が分かる。

頭で考えるのではなく、
体で感じることである。

万事、物事は体験に勝るものはない。

稽古されている方はすでにご承知であろうが、
75劒の技は、先にくどくど説明申し上げた
「反射力」を体現したものである。

例えば相手が、こちらに対し
「解」を打ち放つとする。

その「解」の打ちを「ア」の劒で捉えるならば、
まず、相手の解の打ちを、こちらは
螺旋の渦「凝」でキャッチする・・・

すると、解と凝のぶつかる衝撃を
螺旋で緩和させるどころか、
相手の「他力」とこちらの「自力」の共生によって、
逆にもっと大きなエネルギーに転化する・・・

それは猛烈な螺旋を産み出して、
旋回しつつ天に舞い上がり、
上がるだけ上がれば今度は反射力に転じ、
解の打ちとなって相手に反っていく。

文で書けば、75劒を経験したことのない読者は、
この説明につき何のことやら、
さっぱり理解できないであろうが、

少し和良久に触れた者であれば
すぐイメージが湧いてくるものと思う。

相手にすれば、打った力が、何倍もの力になって
瞬時に反って来るという現実に遭遇する。

俗に「相手の力を利用する」などと、
少しく武道をかじった者であれば、
このような言葉を耳にしたことがあるであろう。

しかし、私も多年に渡り、既成武道を鍛錬してきたが、
本当に100パーセント相手の力を利用した技など
見たことがない。

こんな感じだろうか・・・と言う動きに
何度も遭遇はしたものの、
よくよく吟味すればすべてが力技であり、
無理があったのを実感する。

相手の力を利用する・・・
それは夢物語であると思っていた。

しかし、この75劒に出合って、初めて現実に
そんな技が存在することを知ったのだ。

これは、まさに相手の力を、
そのまま直結してお返しする技であった。

しかも、自分の打った力が、75劒の渦によって
さらに加速されて、何倍もの力となって
反ってくることを体験することになる。

私は、このような技の存在に遭遇し、
感動で体が震えたことを
昨日のことのように記憶している。

続く・・・