特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座338


審神(さにわ)〜正邪の見分け (1)


世には術をもって人を誑かす魔術、妖術
なるものがある。

いずれも低級霊、動物霊を使う。
いや、使われているといった方が正しい。

悪神らは言う、「われは天照大神である」
「釈尊である」と。

誰もが知っている名をかたって懸かってくる。
そう言えば「人間どもが信じる」と思っているのだ。

また最近では宗教色を消して「宇宙エネルギー」とか
「癒しの力」そして、一番良く使うのが
「気」と言う言葉である。

霊も気もエネルギーも、皆同じに扱われている
おかしさ・・・さすがは日本である。

懸かられた当人らも、それを信じ、
その気なっている。

「これは高次元の光の存在であり、
このエネルギーはすべてを救う力をもつのである」

圧倒的な自身に満ち満ちた態度と言葉は
集まった聴衆を魅了し、人はまるで
神様の化身かのように思う。

「ちょっと、手を出してみなさい」

参加者に向かって厳かに言い、
静かに眼を瞑って、そっとそこに自分の手をかざす。

しばしの沈黙。

聴衆は、息を呑んで神様の化身の言葉を待つ。

その数分の時間が皆をより一層神秘な空間に
引き込む。

静まり返った中でそっと神の化身は口を開く。
「いかがです?」

何が「いかがですか?」と言われても困るが、
その気になっている参加者は敬意を表して答える。

「ええ、何かこう、手から光が見え、
あたたかい感じがしました。
おかげでとっても気分がよくなりました」

・・・普通だいたいこういった返事が返ってくる。

また「あなたはどこか悪いでしょう?」と聞く。

・・・そりゃ、人間生きていれば、体か心に、
または家族家の誰かに悪い人はきっといる。

そして、「あなたには、あなたを案じている
おばあさんかおじいさんがいますね」

・・・当然だろう。

「あなたの家の近くに木がありますね」

・・・どこにでもある風景である。

これを眼を閉じながら、さも、相手の自宅周辺の風景を
眺めているような素振りを見せる。

・・・このような「無難」な誘導尋問が始まる。

しかし真剣に信じ始めている聴衆には、
こういった神の化身さんらのたあいもない言葉が
「預言」に聞こえてくるのだから怖い。

そして神の化身は静かに眼を閉じる。

眼を閉じる・・・その絶妙な間が益々神秘さを助長し、
聴衆はますます異空間に引き込まれていく。

聴衆は、化身氏の次の「みことば」を
ひたすらに待つ。

そして化身氏は言う。

「あなたはもう大丈夫です」

じっと眼を見つめられてそう言われると、
まるで天から神の啓示を聞いたような感激を覚え、
本当に大丈夫なように思い込んでしまう。

しかも、この思い込みは実際に病など
癒してしまう力を持つ。

それが化身氏のもつエネルギーのおかげと
信じてしまう。

化身氏も、あなたは私のおかげで救われたのだと
深く感謝させ、私の力でなければ、
あなたは救われなかったのだと言い、
神格化はとどまるところを知らない。


続く・・・