特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座411


「水火(イキ)の鍛錬」


呼吸は「重」「中」「軽」の三つに分けられます。

重は、吐く息。
軽は、吸う息。
中は、吐く息と吸う息の繋ぎ目と言いますか、
「呼」と「吸」の重なったものと考えて下さい。

中の剱は「水火の剱」であり、簡単に言えば、
「水火を組んで、剱を組まない」稽古です。

例えば、ご存知のように「重の剱」や「軽の剱」などは、
相手が打ってきた剱を組んで、その組んだ力を
加速させて、わが力となし、打ち返す剱です。

しかし、この中の剱は、相手の打ってきた剱の
その本体を組まないで、本体の発する水火の勢い、
つまり一般に言うところの「気」もしくは
「エネルギー」を組むことになります。

実は、木剱本体を組むより、このエネルギーの勢いを
組む方が、幾倍にも加速させ、
力を増幅させやすいのです。

よって、この「中の剱」が出来てこそ
一人前と言われます。

ちなみに、古来の武道の開祖たちは、
この中の剱の技を駆使して
一流一派を開いたと言えます。

相手の気の起こりをとらえるので、
勝負になった場合絶対無敵の技です。

最初の一撃で、相手を無力化してしまうので、
勝負にすらなりません。

また、俗に言う「合気」とは、
この中の剱を出来てこそ言うものです。

本当に合気が出来ているかどうかは、
この中の剱が出来るか否かで判断が出来ます。

例えば、相手を簡単に投げたり、倒したりするのは、
相手がかかってくる、その気の起こりをつかまえて
こちらの力と化してしまうからこそ可能なものなのです。

簡単に相手を転ばせることが出来ると豪語する
武術家たちの、一体何人がこの技を知っているのか
疑問です。

そう見ますと、馴れ合いで転んでいる・・・と言われても
仕方のない人たち場ばかりではないでしょうか。

この相手の気の起こり、つまり
「さあ、これから行くぞ」と言う瞬間を
キャッチするのはまことに至難の技です。

素手の世界では不可能と言ってもいいでしょう。

それが剱の稽古を正確に行うことによって
誰でも身に着けることが出来るのです。
よい時代になったと思います。

ここで、もう一度思いなおしていただきたいのは
剱(ツルギ)とは、水火(イキ)の顕現した姿であり、
本来は木や鉄、もしくは銅などで出来た刀剣などでは
ないと言うこと。

もっと簡単に言い表せば、剱とは
「呼吸の現象化」したものであると言うことです。

人の次元の向上は、この「水火の力」なくしては
ありえません。

この水火の力を向上させるのが
「水水火」と書いてツルギと読む、
いま私達が行っている
日本武道本来の稽古の姿なのです。

ツルギは、高次元の神(火水)の呼吸の
顕現した姿です。

この呼吸というものは私達凡人には見えないので、
現界にては見える形に置かないと鍛錬できません。

ですから木で作った木剱を使用いたします。

このように、和良久は一言で言えば、
「水火の鍛錬」であると知って下さい。

水火の実態を知るために、まず木剱をもって
相手の木剱を組みます。

そして、その木剱の勢い、つまり木剱を通して
発する相手のエネルギーを螺旋をもって取り込み、
それを増幅させまた相手に反すのが
和良久の初歩の稽古の目的です。

そして、次に、木剱そのものを組まず、
木剱を通して来る、木剱の本体である
「水火〜エネルギー」をキャッチし、
同じように螺旋運動によって水火を増幅させ反します。

木剱は「虚」であり、木剱を動かす力こそ
「実」であることを知って下さい。

この実をとらえる技こそ「中の剱」です。

中の剱の稽古を通して、物の本質を体感します。

吐く息、吸う息のはっきりした重と軽の技は、
地球レベルの技ですが、中の技は、真空の技、
つまり宇宙の技と言えます。

言霊的にも、「ウは中」である・・・即ち宇宙なのです。


続く・・・