特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座 誌上講座

誌上講座428


「間の基本的稽古」


1、姿勢  〜体勢

まず前後、上下、左右のバランスを整える。
どこにも偏らない中心に自分を置く。

歩き方は、例えば真っ暗闇の中、
足場の悪い道を進むような心持ちである。

一歩、一歩足の裏で地面を確かめる。
眼で見るのではなく、足で「観る」のである。

どこから攻められても即対応出来る体勢。

腰を落とし、体をぶれさせずに、
静かに、静かに呼吸の音も立てず
目の玉動かさず

以下に姿勢の具体的体勢を示す。

<前後>
●顎を引いて上田を前に出す
●下田を出して、臀部を後ろへ出す

<左右>
●両肘を左右に張って腕を丸くし、体の前に出す
(正座をして両手を膝の上においた姿勢を、立っても行う)

<上下>
●膝を曲げ、腰を落とす
●歩くときも膝を伸ばさず曲げたまま歩く

<呼吸>
●呼吸は、吸う息とも、吐く息とつかない、
それらが同時に存在する呼吸である。
例えば、針の穴に糸を通すような、あの呼吸である。

慎重に、極めて慎重に動くことである。



2、間をしめる

■全身を丸く縮めて、力を内に向けて凝縮し、
いつでも外に向かって力を発揮できるような体勢を保ち、
前進する。

これは「・(点)」になっていく、と言った感覚である。

また離れる時は徐々に、力を外に向けて解放し、
内に向かっては安らぎを取り戻す。

膨らみが戻り、「○(丸)」になっていく感じである。


■相手との間をしめていく、
これは、言霊「スーウ」のことである。

そして、間がしまった後、「アオエイ」の八力が生まれる。
物事のことごとくは「スウアオエイ」の言霊による。


■「ス」は、天命を知ることであり、
「ウ」は、人事を尽くすことである。

「アオエイ」とは、働き(力、技)である。



3、間の各種段階

■「第一の間」

まず礼によって起こる。
劒は左手に携えている。

足は、最終的に右からの技を出すのなら、
右足から踏み出す。

例えば、最後に「解」を打つのなら、
①右足 ②左足 ③右足 ④左足・・・で両足をそろえる。

ここまでが、第一の間の終わりで、第二の間の始まり。



■「第二の間」

左手に持つ劒を、両手に持ち替えて、
劒先を相手に照準を合わせる。

そして、また上記と同じ要領で歩む。
①右足 ②左足 ③右足 ④左足・・・で両足をそろえる。

ここまでが、第二の間の終わりで、第三の間の始まり。

この間に来ると、相手の劒があと一歩で触れる、
一触即発の状態となる。

無論、ウの状態ではこれ以上は前に進めない
これから先は「技」のぶつかりとなる。
いよいよ「ビッグバン」である。


■「第三の間」

あと一歩入れば間がしまりすぎて爆発を起こす。
最後の覚悟を決める間である。

お互いが、心の内で探りあい、仕掛けあう。

稽古では「打方」の役であるほうが
仕掛けていくことになる。

では、打方のほうの説明をする。

①第三の間に入って、呼吸を整えている

②相手(仕方)が一歩入ってきて間をしめ、
こちらに圧を加えに来る。

③その押してきた圧を、こちらは八力の「引」でもらい、
左足一歩、続いて右足を踏み込んで、「解」を打つ。
打ったときは右足に左足もつけて、両足をそろえておく。

④解を打ったら、すぐ相手は何らかの技を返してくる。
例えば「ア」の劒であれば、こちらが打った瞬間、
すぐ「解」で返してくる。

⑤その打ってくる解の打ちを、左足、右足とさげて、
内回り旋回で組み(受ける)、回り込む。

⑥次に、また一端正面に戻り、
お互いに劒を交差した状態に合わす。
お互い正面に向き合った形である。

⑦そして、お互いに一歩を譲り、下がる。
左足、右足と引いて両足をそろえる。

⑧これで、第三の間のスタート地点に戻ったわけである。

・・・・・・あとは「第二の間」から「第三の間」へと、
来たとおりに下がっていくだけである。


■以上「打方」の説明をしたが、仕方の説明をする。

「仕方」は第三の間に入ったなら、呼吸を見計らって、
こちらから仕掛けていく。


①右足、左足と入れて両足をそろえ、相手に圧を加える。

②仕掛けられた相手は、解を打ち込んでくる。
それを「ア」の劒で受けて返す。

③左足、右足とさがって「凝」で組み、
右足、左足と踏み込んで「解」を放つ。

④解を打った後、その状態のまま一呼吸。
次に、高い位置に真っ直ぐに劒をみっていき、一呼吸。

⑤左足、右足と引いてそろえ、ウの状態に返る。

・・・・そして、来たときと同様にさがっていく。


■以上を「立ち合い」と言い、技を使う際に
最も大切な間を扱うものである。

また、呼吸力を充実させる大事な鍛錬である。

立ち合い無しの技は、単なる技術の稽古に過ぎない。

間をしめ、そして技を発揮するということを
忘れてはならない。

■いくら技を知っていても、また力をもっていても、
それを使う「場と時」が適切でなければ、
何の功をもなさない。

■間は、まさに「時間と空間」をコントロールし、
己がもつ技を使うに、
最高の場と時を創り出すものである。

■間は、時には魔を呼ぶこともあることを
忘れてはならない。
真となるよう正しく行うべきである。


続く・・・・