特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座 誌上講座

誌上講座478


「バランス」


1、バランス

対照するものを同時に存在させることによって
ものごとは成り立つ。

右は左の、上は下の、前は後ろの反動を
用いることによって強い力を生み出す。

水は火によって流れ、火は水によって燃え上がる。

このように、この世は、一見相反するものが
絡み合ってが形造られている。

火の力は遠心力、水の力は求心力に例えられる。

この水(陰)と火(陽)が合流し、
秩序よく螺旋運動を行われている状態を
「水火があっている」と言い、これを高天原という。

「タカアハマハラ」とは日本古来の呼び名で
「天国」と言う意味である。

逆に、水と火がお互いに潰しあい、
受け入れないと言う秩序のない状態を「地獄」と言う。

人と人が呼吸を合わせることによって和が生まれる。

人と人が呼吸を止めあうことによって戦が生まれる。

この世に高天原を築くためには、
お互いの水火を合わせること、
つまり呼吸を合わせることが基本となる。

握手、礼などは相手に呼吸を合わせること、
和の心の現われである。

礼儀とは、人と人との調和がとれたバランスの型であり、
素晴らしい技である。

対照するものを同時に存在させることにより、
バランスが整い、完全なる力と形が生まれる。

この対照するものが同時に存在させるところに
向上への道がある。
そして、その力と形は永遠に変わらない。

永遠に変わらないものにこそ価値がある。

また、この永遠に変わらないものこそ
タカアマハラと言う。



2、力

力には、螺旋の力と鋭角の力がある。

螺旋の力は、バラバラになっているものをつなぐ力、
物を創りだす力、そして人が自立して生きていく
力を与えてくれる。

鋭角の力は、つながっているものを断ち切る力、
物を破壊する力、そして人が自立しようとする
力を消す力をもつ。

螺旋の力を、天国の力と言って光を放ち、
鋭角の力を、地獄の力と言って闇をつくる。


3、技

技は、タテ、ヨコ、真中と言った、三つの方向を
ひとつにすることによって生まれる。

タテは、上下に揺する強くて激しい動きを、

ヨコは、左右に揺らぐ柔らかくて滑らかな動きを、

真中は、前後にしなる弾力ある動きをする。

これら三つの動きを同時に行うことを
可能にするのが螺旋運動である。

技は、この螺旋運動から生まれた力を、
何時、どこで、どのようにして、
そしてどの部分へ放つかを知る技術。

何時    〜タイミング
どこで   〜ポジション
どのように 〜フォーム
どの部分 〜ターゲット



4、武道

昔、読み書き算盤、また礼儀作法、音楽、舞などの
あらゆる学びは、「武士のたしなみ」と言われた。

まず武士であることが第一であった。

武士とは、武の技と心を治めるものであるが、
一体この「武」というのは何か?


①戦って勝つ (災難に立ち向かい打ち勝つ)〜達人

②戦わないで勝つ (災難をうまく回避する)〜名人

③戦いに縁が無い(災難に遭遇しない) 〜神人


日本武道は、破壊のエネルギーを消す技である。

争いが起きないためにはどうしたらよいかを考える。

正しい技は、人をおさめ、国をおさめる。

身を守ると言って、格闘的な護身の術を習いに行って
相手を倒す技を身に着けると言う発想は、

例えば、アメリカの銃社会と同じで、
銃から身を守るために、
自分も銃を持つんだと言うことと同じ。

倒されるから、倒す方法を学ぶなどは、
益々社会に鋭角波動を振りまき地獄を創りだす。

病気になったら、薬を飲む。あるいは悪いところを
手術をすると言った対処療法ばかりではいけない。

襲われたらどうして倒そうか、
やられたらどうやりかえそうか、
と言う格闘の術ではいけない。

病気にならないためには、どうしたらよいか、
人が怪我をしないためには、どういった配慮が必要か、
などとと言った予防医学的なものが
武道の目指すものである。

武道とは、どうしたら人と仲良くできるだろうか、
またどうしたら国が穏やかになるかということを
学ぶ道である。



5、人 

人は、次の三つで構成されている

■霊〜マインド
一霊四魂 (直霊、幸魂、和魂、荒魂、奇魂)
■力〜パワー
八力    (凝、解、分、合、動、静、引、弛)
■体〜ボディ
三元    (剛、柔、流)

コンピューターで言えば、霊はソフトであり、
体はハードである。そして、力はエネルギーである。

この三つが揃って初めて活動できる。


なぜ人は学ぶのか?

霊と言うソフトを充実させるための学びである。

そのソフトが充実すれば、
ソフトに見合うエネルギーもハードも供給される。

人は「学ぶ」ことにより成長し自立出来る。

自立、これは宇宙の運行で言えば自転である。

その旋回による求心力によって多くの人や物が
引き寄せられ、周囲に輪が生まれ大きな活動力となる。

また、自分自らも他に協力し調和する。
これが公転である。

宇宙の運行は、このように自転と公転による
螺旋運動によって結ばれている。

学びを活かして、心はますます豊かになり、
体は壮健になり、無駄なく動くことを知る。

そして、傷つけあうことの虚しさを知り、
助け合い調和し合うことの素晴らしさを覚る。


<参考>

■一霊四魂

省(直霊)みると言う心を中心に、
愛する(幸魂)、親しむ(和魂)、
勇む(荒魂)、智る(奇魂)
の四つの心がある。


■八力

力には、時計回りの上下と左右の四つ。

また、時計と反対回りの上下と左右の四つ。

以上、合わせて八つの力がある。
これを八力と言う。


■三元

万物は、三つの物質で構成されている。

剛〜固いもの
・・・地球で言えば鉱物、体で言えば「骨」

柔〜柔らかいもの
・・・地球で言えば植物、体で言えば「肉」

流〜流れるもの
・・・地球で言えば動物、体で言えば「血」

続く・・・