特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座50

75剱〜言霊剱 (7)

「手の役割」

素手で動く時は、扇を広げたように、手は大きく開きます。

指の間隔はいっぱい広げますが、逆に掌は「しわ」が寄るように閉じます。

手首は上に反らせるようにし、手に張りをもたせます。

開いた指の広がりは「吸う息」を表し、閉じた掌は「吐く息」を表します。

つまりこの手は「吸う息と吐く息の同時存在」を現していると言われます。

「活きている手」です。

朝顔が開花したようなこの手を、「朝顔の手」と言い、武道では、
この手の形を非常に重要視しています。

あの神社などの山門の両脇に安置されてます仁王像の力強い手を
思い起こしてください。

まことにイキイキとしており、手から呼吸力を感じます。

それとは逆に、手がしおれた花のように、手首が内に曲がり
指がだらりと力なく下に垂れ下がっているのは生命力のなさを感じます。

これは、幽霊の手と同じで「死んでいる手」です。

呼吸力を外へ放出するには欠かせない大事な手の形です。

掌が上に向くのを 「右旋」と言い、
下に返るのを「左旋」と言います。

この掌が上に向くときは 「吸う息」 であり、
掌が下に向くのは 「吐く息」 です。

これで呼吸をコントロールし、全身を可動させます。

人差し指の付け根が「腰」と直結していると考えます。

腰の開閉は、この手の使い方がポイントになります。


<八力>

■両手が「右旋」すると腰の上が開きます(分・動)

■両手が「左旋」すると腰の下が閉じます(合・静)

■右手が右旋、左手が左旋すると、体が左に向きます(凝・解)

■左手が右旋、右手が左旋すると、体が右に向きます(引・弛)

■また正面に両手を差し出し、掌を上に返した形は腰の前面が開き 
 (吸う息の「ウ」)

■正面に両手を差し出し、掌を下に返した形(ハの字形)は腰の前面が
 閉じます。(吐く息の「ウ」)


剱を握る時は、この扇を開いた手から人差し指だけを残して
あとの指で包み込むように握ります。

親指と中指でリングをつくり、薬指、小指で軽く押えるようにします。

人差し指は、ピンッと真っ直ぐに立てて、握りからははずします。

人差し指の先端は「力の方向性」を差しています。


地剱(水平剱)

天剱(直立剱)

以上の剱では、両一指し指は剱の左右にあり
人差し指は天と地を指差しています。


「神への道」・・・・地剱から吸う息で天剱に上がる

「神からの道」・・・天剱から吐く息で地剱に降りる

この天地の剱は「神道」の真義を体現したものです。


続く・・・