特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座 誌上講座

誌上講座514


「いよいよ始動 中の劒」


本日より洛西道場で「中の劒」の
稽古開始を思い切った。

中の劒とは?

説明を以下に。

いままでの劒の稽古では、
重と軽の稽古を主に行ってきた。

水火には、重・中・軽の三種ありとは
すでにご承知のことと思う。

重とは、ア行・ダ行・マ行・ナ行などの
打ちが呼気の劒で、所謂「打ち下ろし」の劒である。

軽とは、ヤ行・カ行・パ行・タ行などの
打ちが吸気の劒で、所謂「打ち上げ」の劒のこと。

よって、「中の劒」というのは、
この重と軽の劒の間に位置するもので、
重と軽の劒が同時に存在する連打の劒である。

「三息一気」で打つ劒で、重、軽と異なるのは、
重も軽も、相手が打ってくる劒を組んで
打ち返す技であるが、中の劒は『呼吸技』と言われ、
劒を組まず、相手の起こりを打つ高速の劒である。

よって、この稽古に入ることを望む者は
十分に劒の扱いが手馴れた者に限ることとなる。


■中の劒の稽古に入れる三つの条件

1、八劒が自由に使いこなせる者なりしこと
2、アヂヤキモネポテの40劒を習得せし者なりしこと
3、水火を打つという感覚を持つ者なりしこと


いままで随分組む稽古を行ってきたが、
この稽古、組むのは組むが、劒を組まず水火を組むことをやる。

「劒を打たずに、水火を打て」

「劒を観ないで水火を観よ」

このように随分、注意をしてきたが、いかがであろうか?


以下に稽古の段階を記す。

(1)重軽の、ヨコの劒である「アヂヤキ」の四行
  20劒を、水火のヨコのつなぎである胸式呼吸
  によって、ヨコの動きを主とする腰の内外水平
  旋回を練る。

(2)重軽の、タテの劒「モネポテ」の四行20劒を
  水火のタテのつなぎである腹式呼吸をもって
  上下運動を練る

(3)「ワギボレ」四行20劒、
  腰は経緯全般を駆使する。

(4)スの重、ズ行五劒 中田の内外旋回〜竜巻
  天劒より劒尖打

(5)スの軽、フ行5劒 中田の内外旋回〜渦巻
  地劒より劒尖打

※劒尖打とは、刃筋の打ちではなく、
  劒の先の部分を飛ばすように打つこと。
  所謂「突き」とは異なる。

  例えば、弾丸や弓や石つぶてのような
  飛び道具のようなもの。


つまり、言霊劒の稽古段階は、
形あるものから形無きものへの移行になる。

古来より言う「遠当(とおあて)」、
または「合気」または「言霊の発射」
「霊縛」などこれの理による。

オカルト的な怪しげなものにあらず。
正しい理念と技の実践によって会得せるものであり、
これこそ神武なり。

和良久の稽古は、見えるものから、
見えないものの実在を確実に感得することにあり。

現界から幽界へ・・・
例えば、中の劒の稽古は、その壁のようなものである。

「顕斎」から「幽斎」へと突き進む。

「体主霊従」を経て「霊主体従」となる。


ちなみに、本日の洛西の稽古は成功なり。

洛西は、子供3人、大人一人の、
和良久稽古場の中で最も少ない稽古場である。

にもかかわらず、こつこつと
稽古長く継続せるをもってその上達すること
眼を見張るものあり。

彼らの、上手に動こうが、下手に動こうが
決して一喜一憂することなく、
ただ淡々として稽古に望む姿勢実によし。

少し出来たからと言って歓び、
少しうまくいかないと言って嘆いたり、
また辞めたりすることなく、ただ淡々と稽古に臨む。
これこそ道にある「もののふ」というべき。天晴れ。


本日の洛西の稽古

■火(打ち方) 八劒自由

■水(仕い方) 中の劒 「ワ」「ギ」の二種

当て(押さえ)から打ち

「ワ」〜凝で当て、解で打つ、また解で当て、凝で打つ

「ギ」〜引で当て、弛で打つ、また弛で当て、引で打つ


他の稽古場も順次、古参の者ら「中の劒」に移るものなり。

しっかり重、軽の劒を復習あれ。
中の劒が出来てようやく一人前と言うべし。

また、和良久の技の向上を望む者、
必ずこの誌上講座を読みおかれるべし。

稽古場で行うことを、
前つ前つにこの誌上講座で知らせおく。

理念と実践を同時に進行させ、
前人未到の技の領域にともに邁進せんと思う。

いまや、悪魔の街道の往来日に夜に激しくなりつつあり。
75劒の技の発動いつになるやも計りがたしなれども、
いつにても劒を抜き放ち、技を行使せる心得大事なり。

常に抜き身の中に身を置くべきこと至極肝要なり。


続く・・・