特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座 誌上講座

誌上講座53

75剱〜言霊剱 (10)

剱稽古の効用

和良久の稽古時間(運動量)は、本当に短いものです。

しかしこの短い運動の中には、数々の肉体的、精神的健康に
効果の高い秘密が隠されてあるのです。

まず当たり前ですが、この稽古では剱をもちます。

すると全神経が、この剱一本に集中します。

「気剱体の一致」という言葉がありますが
その字の並び通り、気と体を結ぶのが「剱」の役目です。

うまく剱が螺旋運動を描くためには
全身の筋肉が固くてはだめです。

力んでいたのでは、円やかな動きは起こりません。

まず心を穏かにし、体の力を抜いて筋力を緩めます。

そして肩、腕など部分的な筋肉には決して力を入れず、
「腰を基点として」全身を動かすことに努めます。

中心を動かすのです。
人体そのものが「剱」と化すのです。


円滑に螺旋運動を描くには、三つのポイントがあります。

一つ目は、まず腰を安定させることです。
ここにどっしりと重心を置きます。

二つ目は、この重心に「軸」をまっすぐに立てることです。
つまり中心をもち姿勢を正すことです。

体が歪んでいたのでは、高速に剱を回転させることは
出来ません。

三つ目は、体の筋肉をゆるめて力みを捨てることです。

体が固いと動きに幅が出ません。

つまり、重心の安定により、中心が決まり、
中心の回転に全身の筋肉をゆるめて、
中心の動きについていかすのです。

重心〜 ヨコ・円周・人・平面的広がり
中心〜 タテ・点・天地・天地の軸

螺旋運動ということは、全身が前後・上下・左右の
三つに動くということです。

この三つが同時に重なると球体になります。

全身を縦横無尽に動かす八力の動作は、
全身に過不足のない運動量を行き渡らせます。

それは中心の軸を保ちつつ、重心になる腰を安定させます。

以下は、前にも申し上げたことですが、

八力により腰を可動させますと、腰の中心にある仙骨が刺激を受け、
仙骨の前面に位置する「臍下丹田」(下田と言う)に力を充実させます。

その力は、脊椎を伝わって上昇し、まず体の胸部と腹部の境目にある
「中田」に行き、練磨によってさらに上昇し

額にある「上田」に伝わって脳にまで達し、ついに脳を突破し
天の意志とつながることになります。

肉体の鍛錬により、精神レベルを向上させていくシステムが
ここにあります。

このように和良久では、精神面、肉体面を総合的に鍛えます。


続く・・・