特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座 誌上講座

誌上講座531


「布留」の型


近頃、皆様には、基本の「八力」に続いて行なう
「型」を稽古していただいてます。

この型、仮に「布留」とでも言っておきましょう。

フルベユラの「フ」であり、フトマニの「フ」です。

「フ」は、霊であり、振るであり、降るであり、
フツノミタマノツルギの「フ」であります。

「ル」は、流れであり、回転であり、連続です。

「布留」とは能楽にもあります。

スサノオノミコトのオロチを退治した
ツルギの威徳にまつわる話だったと思います。

いずれにせよ、この型、両手を振りつつ
神霊剱の御徳を放射するものです。

五つの方向に向けて、
堅く閉ざされた岩戸を開くようにして両腕を広げ、

全身を十字形になして、
縦の水、横の火を表して「神」を讃えた後、

歩を進めて間を締め、
一霊四魂三元八力を表す
「スウアオエイ」の型をします。

また、この型は「ハルチ・ウムチ・ツヅチ」
という願望成就の言霊を意味しています。

万物すべては、腫れて膿んで縮まるの繰り返しです。
これを防縮圧と言います。

技の成り立ちもこのごとくです。

型では、まず両腕を左右に
「張る」ようにして開きます。

「ハ」は張るであり、破であり、表すであり、
「ル」は先申し上げたような意味で、
「チ」は、大地、肉体であります。

星のように五方向に行きますが、
これは五大父音、または梅の花の
開くことを表しています。


この型には、私たち大和の民にとって、
立ち居振る舞いをはじめ、
大切な動作が多数込められています。

この型、シンプルですが、
あらためてやってみると意外と難しい動きが
いくつかあります。

それは、以下のような部分でしょう。


眼の位置、

立つ事、

歩くこと、

バランス

動く速さ、

力を入れ緩め、

動きに相応した心の持ち方

・・・その他、様々の要素があって
この型は出来ています。

腹と腰が据わり、
背筋が伸びている人の動きは綺麗です。

見ていて安心感とともに、
近寄りがたい威厳を感じさせます。

型の最初で、腕を正面の肩の高さに
あげるところがありますが、
この単純な動作でさえ前面に伸ばした左右の
腕の長さが違う人が多いようです。

これは体の軸のゆがみに起因しているのですが、
体をまっすぐにすれば、腕もまっすぐになります。

「歩き方」も、体の前後、左右の傾斜、および、
体の上下の上がり下がりが影響して、
その歩き方が変化します。

歩くとき、状態がぶれないで
静止した状態で進退します。

この型を行うと、腰と腹がズシンと落ち着きます。

それは見る者をも、落ち着かせます。

私は、人の動きにおいては、
総てに意味があると思っています。

踊りや、ダンスにしても何かを表現していますが、
それがどれほど重要であるか、また真理、
摂理に適っているかが大切なのではと思います。

ただ、踊りには娯楽のみを追及したもの、
色気を表現したもの、獣の動きを基本としたもの
などが多いため私はあまり好きにはなれません。

和良久は武道であり、剱です。

この布留の型も舞のように見えますが、
すべて「技」であることを忘れないで
稽古していただきたいと思います。

世の平安を願い、人々に健康と和合が
訪れますようにと行ずるのが
和良久の技だと思っています。

祭典の奉納時に、また家庭においても
時折この布留を舞ってみてください。

開け行く何かを感じ取って
いただけるものと確信します。
続く・・・