特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座87

手の妙

手を開いてみてください。
実は手の中に宇宙があるんです。

皆さんは、てのひらの中に「タテとヨコ」があるのをご存知ですか?

私は手相は知りませんので、そのしわが何線というのか
分かりませんが、「タテじわ」と「ヨコじわ」がありますね。

このしわに剱を合わせると、はっきりと「タテの剱」と
「ヨコの剱」が使い分けられます。

ヨコのしわに剱の握りを合わせるとヨコの剱になります。
タテのしわに剱の握りを合わせるとタテの剱になります。

稽古で、人差し指の位置についてうるさく申し上げますのも、
このしわのラインに剱を合わせるためなのです。

人差し指と、剱と並ぶと「タテの剱」になります。

人差し指が、剱から離れて、その位置が剱と直角になると
「ヨコの剱」になります。

しかし、しわに合わせるといってもややこしいので
「人差し指に」と申し上げて稽古を進めています。

人差し指は力の方向性を示しています。
人差し指は、文字通り「人の力の方向性を指し示す指」です。

人差し指を内に曲げて力んでしまうと内側の方、
つまり体内に力が充足し、外からの衝撃に対し強くなります。

逆に、人差し指を外に向けてピンと伸ばすと、
内なる力が開放され力の流れが明確に指し示せます。

和良久では人差し指の付け根は、腰と直結していると考えます。
ですから剱を腰で扱うためにも「手付」は非常に大切なのです。

親指、中指、薬指、小指・・・と他の指はすべて名詞であり、
動詞がついていません。

しかし、人差し指は「さす・・・刺す・差す・指す・挿す・射す」という
動詞がついた唯一行動的な名称を持つ指なのです。

人は「これだ!」「そうだ!」と感じた時、
天に向けて人差し指を直立させます。

これはまさしく「天剱」です。

剱を握る時、人差し指を立てて、同時に中指と、
親指でリングを作ります。

手の上にある四指の代表は「中指」であり、
これは「ヨコ」の代表でもあります。
また、「タテ」のという力強いものの代表はもちろん親指です。

この親指と中指円い形は、
手の中でタテとヨコが組まれる様を表しています。

つまり手の内で十字形を形成し、
手の中で力を「螺旋の流れ」にもっていっているのです。

その発生した力の流れる方向を、開放するのが人差し指です。
また外部の力を取り込むのも人差し指なのです。

図形で言いますと、人差し指は「・」、
中指と親指によるリングは「○」です。

この両方を合わせると、宇宙の最高の印である「ス」の印が出来ます。

「ス」とは主神であります。
これは万物発生の元であり、言霊の初発の音声です。

人の体は何と霊妙につくられているのでしょう。

手ひとつとってもこれだけの不思議があるのですから。


続く・・・・