特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座95


「木剱を使った稽古の効用」
手のひらへの刺激が健康を促進させる(2)〜手の不思議


手を見て下さい。まず指先です。

その指紋と言われる部分には螺旋がくっきりと刻まれています。
宇宙を創造した力が指先に刻印されているのです。

掌もそうです。
このシワの流れは宇宙の歴史と人類の歴史が刻まれ、
大気の流れ、つまりを天地の呼吸力をはっきりと表しています。

次に手を剱を握る状態にしてみて下さい。

小指、薬指を曲げ、中指と親指でリングをつくり、人さし指を立てます。

それを親指側から眺めてみください。

どうでしょう?
コイル状、つまり渦巻き状になっている手があるでしょう。

またその形状をもって両手を組んで見て下さい。
そうです。稽古の際にやっている「鎮魂帰神の印」です。

それを両人さし指を真上に立て、心臓の高さにキープして
静かに眼を閉じてみてください。

天地に遍在する「力」は人さし指から入って、親指に。
そして親指から中指に伝わり、掌を伝って薬指に。

また掌を伝って小指にと、それは螺旋を描きながら腕を
通って体内に来ます。

それは両腕から体の中心軸に向けて流れ来ます。

そして、この人さし指を介して出入する「力」が実感しにくいのを
はっきりと分からせることが可能なのが剱(つるぎ)の稽古なのです。

それは木剱を組み合う際に発する「音」と「振動」によって
誰にでも感じ取ることが出来るのです。

皆様がすでに経験されています、あの木剱をお互いに打って組み合うと、
カーンという心地よい響きがありますね。

この木の打つ音色は、金属音と違って温かみがあります。
それは山奥深く分け入った時に聞いた木こりの発する音にも似た
懐かしいものがあります。

木を打つというのは、たとえば古典芸の舞台で用いられます
拍子木などもそうです。これは勢いや間を取るために用いられたりします。

また街中を「火の用心」と言って警戒を促すためにも用いられます。
楽器などでは「木琴」を始め、種々の木の温かな響きを
伝えてくれるものがあります。

このように木の音は時を知り、勢いを知り、気づきを与えてくれます。

木剱の打ち合う木の響きこそ「魂の覚醒」を促すのに
非常に効果があるのです。

そして音だけではなく、「振動」、つまり木を打ち合う中で発生する
バイブレーションが電気治療器にも似た、いえもっともっと自然な流れと
波をもった力が生まれ、心身を癒してくれるのです。

その心振動は木剱からまず掌に刺激を与えます。
掌は治療効果の高いツボの集まったところです。

木の振動は掌の経絡を刺激し、血行を良くします。
剱を使うと掌が赤くなるのはそのためです。

また経絡のみならず、その振動は掌から腕を、肩を伝わって
体の芯(軸)にまで及び、その振動は腰に達して仙骨を刺激します。

仙骨を刺激すると、丹田は覚醒され霊的エネルギーが発動し始めます。

同時に中心に及んだ振動は全身に広がり、血行の流れを促進し、
また体内のゆがみを矯正させ心身を健全にさせます。


続く・・・・