特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座 誌上講座

誌上講座239


パートナー〜相手にとって最善の状況を創る人


普通、武道の稽古というのは、相手は倒すべき「敵」です。
それは相手にとって常に動きにくいよう動き、
またこちらの動きを停止させようと、
最悪の状況をつくるように努めてきます。
それは自分が生き残りるためであり、
相手より優位にたちたいとのエゴからくるものです。

裏を反せば「相手が怖い」からくる抵抗とも言えます。

勝負を前提とする既成の武道精神から言えば
それは至極当然であり、何も批難するものではありません。
しかし、和良久は違います。

和良久の精神は、
「人を傷つけず、人に傷つけられず、人も良く、われも良し」
です。

稽古の際に向かい合う相手は「敵」ではなく、
愛すべきパートナーなのです。

何を生易しいことを・・・と言われても、
この平成の時代に何で戦国時代の技と精神を
ひっぱり出そうとするのか、私には逆に理解できません。

それに、武道のルーツは「矛=ツルギ」であり、
それは万物創造のための神の技であったからです。
和良久は「活人の技」ツルギです。

さて、このパートナーとしての心構えを述べたいと思います。

そもそも、この「パートナー」という言葉ですが
次のことがあって使い始めたことによります。
私は今年に入って三度アメリカへ指導のため渡りました。

指導中、下手なブロークンイングリッシュで
「オポーネント」と言う言葉を使った際、
ある稽古生がこうおっしゃいました。

「先生、和良久の精神から言えば、
これは向かい合う人はオポーネントではなく、
パートナーと言う言葉がぴったりだと思います」

なるほどと思いました。

私は知らず知らずに空手時代に、
やはり渡米して指導した時の言葉をそのまま使っていました。
空手は格闘であり、向かい合う者は全て倒すべき敵なのです。
この際ターゲットであり、オポーネントなのです。

しかし和良久はお互いを高めあうために稽古しています。
しかも破壊の技を用いずに。

打つという行為も決して「倒してやるぞ」と言う
敵意をもって打ち込んでいくのではなく、

「この力が相手にとって最善の技を生み出す基となりますように」
と言う願いをもって八力を打ち込んでいきます。
つまり「他力」の存在そのものの役目こそパートナーなのです。

こちらはその他力を受けて、益々力をつけていきます。
いただいた力を何倍もの強さ、速さ、優しさに増幅して、
そしてパートナーに「ありがとうございました」の
感謝の気持ちを込めて技をお返しします。

他力と自力の合一により無限の力を発揮させる・・・
そんなシステムを勉強するのが私達の稽古であります。

続く・・・