特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座249


「素手の技」(4)


前号に続き、また実例をもうひとつ・・・
これも犯罪多発国家アメリカの出来事です。

ニューヨークの街頭に若い不審な女性がうろうろしています。
明らかに麻薬中毒の状態です。
警官が近寄って捕まえようとしますが、
簡単にその手を振りほどきます。
今度は、二人ががりで取り押さえようとしますが、
二人とも跳ね返されてしまいます。
いや、まったく物凄い力です。

これは適わないと、警官はもっと応援を頼み、
5〜6人で取り押さえにかかりますが、
女性の叫び声一声で、全員吹っ飛ばされています。
か細い女性に、大男達はまったく歯が立ちません。
最期にとうとう麻酔銃で眠らせて捕まえました。

なぜ、この女性は屈強な警察官を
いともかんたんに吹っ飛ばせたのでしょう?
その様子はニュース番組で
映像として私も観させていただきました。

これを分析しますと、こうです。
女性は麻薬による完全なる脱力状態で、
無駄な力がまったく入らない状態です。
つまり、自然に重心がおちて、
いわゆる腰が落ちている安定しているという状態なのです。

しかも捕まえられる時の叫び声により、
臍下丹田に火が着き、
それにともなって腰が猛烈な螺旋運動がおき、
中心軸が確立してしまったのです。

もう、こうなったらこの女性は無敵です。
つまり達人共通の「無心の体勢」が出来上がっていたのです。

女性は武道の心得はないにも関わらず、
武道の技そのものを知らずに使っていたのです。
その技は柔術の名人をも凌ぐものです。
この女性は理に適った動きを無意識の中で行ったのです。

我々は、この無意識の中で理に適った動きが出来るように
日夜稽古に励んでいるのですが、
これを何も技を知らない女性が行ってしまったのです。
それが逮捕のプロである警察官たち複数を吹き飛ばす
その次元を超えた強さの秘密とは何でしょう?

和良久の皆様はもうお分かりでしょう。
そうです、八力です。

もし、警察官の中でこの秘密を知っている者がいたら、
その女性と同じ技と呼吸をもって、まったく筋力を使わず、
まるで老人の手をひくように簡単に逮捕出来たはずです。



続く・・・