特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座397


「水火(息)を重ねる」


ウの剱など、点で飛んでくるような
高速の突きに対する対処法をお伝えします。

まず基本の受け方から申し上げます。

例えば相手が「内回り上からの突き」・・・
つまりヨコなら「解」、タテなら「合」になるのと
同じ仲間の打ち方で、これは内旋で突きが飛んできます。

解や合と同じ「刃スジ」の打ちなら、割とゆっくり
待っていられるのですが、これが突きとなると
剱尖が真っ直ぐに飛んでくるので、
そう悠長に構えてもいられません。

ここでより勢いのある、そして速い受け方が要求されます。

具体的に説明します。

まず、この時、相手の打ちは「内回り」ですので
左に払わねばなりません。

これを受けるのに、単に左に剱を振って払うのでは、
とてもではないですが、突き込まれてしまい、
勝負事であれば、あなたの腹に穴が開く羽目になります。

まあ、和良久どうしの稽古ではそんな心配もないのですが、
しかし同じ稽古をするなら多少そんな危機感を持つことも、
本能を呼び覚ますのに効果があるように思います。

先のMLにも書いたように眼で見て、頭で考えてから
判断していたのでは技にはなりません。

電気的ショックにも似た、自然に体が動くようでなければ、
潜在する力なんて現れたとは言えません。

この無意識の動きを、通常の中で意識的に
出せるようにするのが和良久です。

話を戻します。
相手が剱尖をこちらに向けて、今まさに
突いて来ようとします。しかし慌てないで下さい。

ここで「待つ勇気」を持つのです。
突きがあなたの懐に届くまでまだ充分に時間があります。

剱尖がこちらを向く。
これは例えば銃口がこちらに照準を合わせたに
過ぎないのです。弾丸は発射されていません。

充分にこちらの急所を狙わせるのです。
「はい、どうぞ」と言わんばかりに、逃げる事無く
自分の体をさらします。

この時逃げれれば、相手はあなたの逃げたほうに向けて
よりしつこく狙いを定めてきます。

犬と同じで、逃げれば本能的に追いかけてくるのです。

次に相手は銃口から弾丸を発射させます。
つまり水平にした剱がまっすぐこちらに向かって
移動を始めるのです。

しかし、慌てないで下さい。

あなたは、相手の剱を左方向に払うため、
まず右にあなたの剱を振ります。

この時に活躍するのが左手です。
左は火であり、霊〜心をコントロールします。
感性の手です。
そして、それは腰を左右に動かします。

左に行くために右に行くのです。
これを「反動圧」と言います。

この反動圧を一層強力にするために、
右に剱を振った際、もう一度右に押すのです。

すると勢いが増して、あなたの剱は左に発射されます。

要約すると左に払うには「右左」ではなく、
「右右左」と言うことになります。

このもう一押しを「水火を重ねる」と申します。

なぜかと言いますと、例えば左に払う剱の呼吸が
「吸う息」で払うものであるならば、右が吐く息で、
左が吸う息となります。

こうしたなだらかな柔らかい呼吸では、相手の強い
また速い突きの「圧」には対応出来ないのです。

ですから、こちらも「圧」をかけて対応するのです。

その圧が「右右左」、つまり「吐く息、吐く息、吸う息」
と言うことになります。

吐く息に、もう一度吐く息を重ねる・・・
これにより発射する勢いが強烈なものに変化いたします。

これを「水火を重ねる」と申します。


続く・・・