特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座 誌上講座

誌上講座396


「ウの稽古の目的」


『ウヅユクムプヌルズフス』など
「ウ列」の剱は高速を旨とする。

点、瞬間、一瞬、集中、同時・・・と言うのが
ウ列の特徴だ。

それは、例えば石つぶて、ピストルの弾丸、
ボールなどの飛び道具を想定していただくといい。

この剱では、打つ剱を「風を感じる」と言った
悠長なものではなく「圧」を感じて動いてもらう。

これこそ、眼で見て、考えて、判断して・・・
なんて段取りを踏んで動いている場合ではない。

体に感じる電気的ショックをもって反応する。
これは正確に自分を打たせることが大事だ。
決して逃げてはならない。

出来るだけ突きを引きつけ、
ぎりぎりの境界線で払うのである。
出なければ狙われて逃げることが出来ない。

怖い?・・・大丈夫、体は知っている。
どこでかわせばいいのかを。

何時というタイミング?
それも体が知っている。

なぜなら体の周囲には「霊衣」と言い、
別名「みたまのふゆ」とも言うが、
これが肉体を守る霊的衣服として取り巻いている。

まず、霊魂を保護する入れ物が肉体である。
その肉体を保護するのが霊衣である。

霊衣はこの霊魂と肉体を守る
眼に見えない神から与えられた
鎧のような衣服なのである。

これは数センチの薄い人もいれば、
何メートルも厚い人もいる。

救世主と言われるような人は、その厚さは自由に調節でき、
地球規模に広げたり、自己の周囲にのみ引っ込めたりで
様々に変化する。

また色も様々である。

金色に輝くもの、紫色の鮮やかなもの、
燃えるような赤色のもの、黄色のもの。

そして、時にこれが薄くて灰色にくすんだものもある。
これは短命な方の霊衣である。

さて、この霊衣がセンサーの役割を果たしてくれるのである。

相手が突いてきた・・・その剱尖が霊衣に触れたとたんに
体が反応し、眼にも止まらぬ速さで迅速に物事に対応し、
体を守ってくれる。

皆には、こんな経験がないだろうか。

ぼうっと立っていて、はっと後ろを見れば
車が近くまで迫っていた。
危うくはねられるところだったが助かった。

歩いていると突然頭に「圧」を感じ、
はっと上を見ると何かが落下してきた。
それをいち早く知ってかわすことことが出来、難を逃れた。

写真を撮ろうとして後ろ向けに歩いていたが、
何気なく後ろを見たらすぐそこに川があったり、
人が座っていたり、または崖っぷちであったりで一難を逃れた。

その他、様々なことが日常の生活の中にあろうかと思う。

危ういところで、はっと気がついて難を逃れる・・・と
言うことだが、このはっと気がつく現象が、
実は「霊衣に触るものを感じた」ということなのである。

ウの稽古で培うのが、この霊衣の活用である。

一瞬のうちに身に迫る、そんな速い突き技を体に感じ、
それを瞬間に払う。

稽古によって、徐々に霊衣の厚さを拡大し、
我が身の危険を察知するところを覚り、
有事には、自己の周辺の人々を包むことも出来る厚さ、
そして地域を守り、国を守る霊衣の厚さを得るよう鍛錬を積む。

我々は、万民の保護者となるべく、
厚き霊衣なる神の鎧を身にまとい、
ヤマトタケルの如き疾風の剱さばきをなす。

一瞬の技「ウ」の速さに対応できるのが、中田の働きであり、
これは前後の間を取る機能を司る。前後の間、
すなわち「時間」である。

また、この中田の霊魂は「直霊(省)」であり、
四魂を統括する中心の魂である。

何がおころうと慌てず騒がずの心を練り、
速いものを遅く捉え、時間をコントロールする感性をつけるのに
「ウ」は欠かせない。

相手の、はっと目が覚めるような「突き技」。

これを恐れず慌てず、瞬間の突きを
スローモーションでも見るような感性を持ち始めた時・・・

あなたは次元をひとつ上げたと言っていいだろう。


続く・・・