特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座47

75剱〜言霊剱 (4)

さて先に理念の出所について記しました。

私も、説明が広範囲になるので、またこの剱の理念を整理することは
初めてですので、解説がばらばらになることをご承知ください。

思いつくままに書きたいと思います。

奥山先生の稽古は、前にも書いたと思いますが昔かたぎの、
感性的な鍛錬法を取りました。

西洋的なステップアップ方式ではなく、稽古前に難解な理論の説明のあと、

「こうやるんですわ」

と言ってお手本を見せるだけです。

その後、私たちはそれを真似して行うだけです。

「1、2、3・・・」と動きを細切れにせず、分かりやすく分解して行うことなく、
いっぺんに全体の技を稽古します。

ちょっとでもまちがえば「違う!」と言い、
「ここはこうするんですわ」と言って、

「ここはこれこれこうだから、こうなる」と言った具体的な解説はなし。

「こうです、こう」と抽象的な言い方で??のまま治していくのです。

それを真似することは容易なことではありません。

いま、和良久ではカウントして部分、部分の動きを稽古し、
それを最後に全体をつなげてひとつの「技」に仕上げます。

当時私たちが過去に1〜2ヶ月かかって、ようやく理解できた技を、
和良久ではその10倍もの速さで習得できうる稽古方法を編み出しました。

このときの苦い(笑)思いが功をそうしたと思います。

まず私が、最初に稽古し始めた頃には「基本」になる動きがなく、
いきなり「技」の稽古に入ったものでした。

いまは基本に「八力の型」をおき、それに準じて技を形成しています。

和良久は、この八力から一歩も漏れることはなく、
どんな応用を行っても、基本の範囲で忠実に動いています。

ひとつの技をこなすには、あらゆる要素が統合されています。

前後、上下、左右。
調子、拍子、間。
吸う息、吐く息、または息を溜める(重ねる)

・・・など、様々なことが一致しないと技が完成しません。

それらをつなぐのが「螺旋運動」です。

攻めと受けの同時存在・・・攻防一体の理というものは螺旋であって
初めて成し得るものです。

既製武道にはない完全な動き。

それが正確な螺旋運動からくるのです。

さて、師は武道の稽古についてこう語っています。


『 道として縦と横が組まれる 』

 縦は「玉、鏡、剱」の剱の道である。

 「言霊の助けによりて大神の御心を直覚(さと)り

 鎮魂帰神の神術(みたましずめのみわざ)によりて

 村肝(むらきも)の心を練り鍛へしめたまいて」

 <大本祝詞〜感謝祈願詞(みやびのことば)より>

 この為、神よりの道として理念の実践を、息、呼吸、気、水火と積み上げ、いわゆる遠当より言霊剱に至るイキの鍛錬を行うものである。

 横は「心、言、行」の行の基である。

 人の行の根元であるイキと共に、体-腰が

 正しく作動する為の基礎訓練を行い、いかなる働きにも対応出来る
自然の体作りである。

 また同時に保健法でもある。


剱は諸刃といわれるように、相反するもの、相容れるものなど
いつも二元性をもって稽古を進めています。

善と悪、陰と陽、プラスとマイナス、文と武、火と水・・・・

特に「縦と横」に注目し理念を展開していきました。

どちらが良い、悪いの問題ではなく、すべてはこの双方が
磨きあうために必要な存在です。

このように、すべてに縦と横を当てはめて理念を展開するのが常でした。


続く・・・