特定非営利活動法人 武道和良久

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誌上講座247


「素手の技」(2)


技のすべてが、全部八力で解明出来、
技の良し悪しを判定出来るためには、
技を使うものが八力の腰に符合したものであるかどうかで
判定できます。

また、呼吸のあり方が、その腰の動きにあっているかどうか、
そしてそれらが統合されて旋回を描き、球体であるか、などです。

もし、技が球体であるなら、その技はどこから力を加えられても、
まったく同じ動きで対応出来、もし打ち込めば
相手は立っていられないほどの衝撃を被ることになります。

つまり、ひとつの動きで、すべてに通じるか否かが、
技の完成度の高さを証明する基準となります。

ひとつはすべてのために、すべてはひとつのために・・・
この宇宙の法則に合致した思考、
技術を生み出すのが稽古そのものと考えます。

話は戻りますが、私は故芦原英幸に10年仕えて
その技を叩き込まれて来ました。

当時は分かりませんでしたが、
師の強さの秘密は螺旋にあるということが
今になって、この稽古に入ってようやく分かりました。

螺旋運動・・・中心軸を定めて、円を正確に描く、
その描く円から繰り出す遠心力、求心力をうまく駆使すること・・・
これは達人たちに共通する法則のようなものです。

力は自力で発するのは、ほんの僅か。
あとは相手がぶつかってきてくれて、
技に加速を加えてきてくれるのを待つだけです。

そして、ぶつかった力が他力となって、自力と組み合わされ、
その加速した力が相手に帰っていく、といった技です。
つまり相手の力を利用すると言うことです。
よく柔道で相手の力を利用するなどと言いますが、
本当に相手の力を利用できるのは、螺旋運動を身につけた者だけです。

それは剱の理念を知る者のみ許された神技です。


続く・・・